転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 733

私はようやく宵へと来ることが出来た。よく宵へと繰り出してるが、ここまで苦労したのは初めてだ。なにせ普段ならもっと簡単に宵へといける。別に街は結界で覆われてるが、出入りは比較的簡単にできる。そしてそこでこの間の空間と言うべきものはない。

 だからこんな苦労をしたのははじめてだ。一体あれは何をしたかったのか……引き止めてたのか……でも最後はなんか拍手万雷だったし……いや実際あれを拍手と思ってるのは私の先入観なのかもしれないけど……拍手に別の意味があってもおかしくはない。

 間の空間から出ると、既にそこには鬼がいた。けどなんか警戒してる? どうやら鬼には私がネナンちゃんではない……とわかってるらしい。いや、普通はわかるよね。間の空間にいた何か? がアホだっただけである。多分間の空間の存在は視界というものがなくて、エネルギーの波長とかなんかで相手を識別してたんだろう。 

 そう思うと納得できる。けど、鬼には目が……人間のように動き回る様な目があるわけじゃないが、目に見える部分はあるから、きっとそこで見えてるんだと思う。直接見えてるからこそ、私がネナンちゃんではないなんて一目瞭然なわけだ。

 それは警戒するよね。けどここでバトルしても……ね。ここで最悪なのはバトルってるときに、ネナンちゃんが目をさますことだ。そうすると予想できる展開がある。

「ジーゼ様もお父さんもお母さんもやめて!!」

 とか言って、仲裁に乗り出すパターンだ。実際これが一番大きい。そして下手すると、私とネナンちゃんが敵対することになる。なにせネナンちゃんはこの鬼を両親と思ってる……いやそんな曖昧なことじゃないね。ネナンちゃんはこの鬼を両親だと断定してる。

 そうなると、私が両親を倒す敵……ということになる。いやいやだけど、ネナンちゃんは私と敵対するだろう。勿論一生懸命説得してくると思う。それで私だって止まれるものなら止まってあげたい。

 けどどうしようもないことってあるじゃん。私が止まりたいと思ってたとしても、向こうが止まらないと、私はネナンちゃんを守るためにも戦わないといけない。鬼を倒せる程の力を既に持ってる私だけど、やっぱり鬼は鬼なのだ。2対一は決して楽ではない。それだけ鬼は強力だ。

 そしてその未来は誰も幸せになんてならない最悪な未来である。どうにかして回避したい。そのためにはこの第一段階? 第一印象とでもいうのか……それはとても大切である。

 

「人間関係だって第一印象が大事だからね」

 それと一緒である。いきなりここで先手必勝! ズガーンといったらもうバトルにいくしかない。たしかに鬼は私を警戒してるが……それはもしかしたら鬼ではなく、ネナンちゃんの両親としての親心かもしれない。

 本当にあの鬼がネナンちゃんの両親なら……だけどね。なのでここは私はまずは挨拶かなって思った。ネナンちゃんやあの世界の人達には私は喋れない設定だが、今はネナンちゃんは気絶してるから聞かれることはない。実は寝たふりしてるとしても、バイタルまで観察してるからすぐに気づくからね。

 脳波的にちゃんとネナンちゃんは気絶してる。なら大丈夫。私は私の声を外に出していうよ。

「はじめまして。私は敵じゃありません。勿論それはこの子にとって……ということです」

 そう言って私はネナンちゃんを見せてあげるよ。

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