転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 714

「宵へと奴を返すことができればな……」

(それは不可能っすよ。なにせまだその時間じゃないっす)

「だよな……」

 世界を強制的に宵へとする……なんてだいそれた事は流石にできない。そんな方法も知らないし……ならやはりあの鬼をとめるしかない。

「力の変換はできそうか?」

 それができればかなりやりやすくなる。それに今や自分のことを意識してない鬼に解析魔法をうちこんだんだ。頭を痛くする価値はあったと思いたい。

(どうにかできそうではあるっす……けど)

「どうした?」

 なにやらノアの歯切れが悪い。なにか気になることでもあるのか?

(例の雑味っす。それに破壊衝動が増幅されてるっす。これをそのまま流すと主の心に影響が出る可能性があるっす)

 なるほど、今は2つの破壊衝動が鬼の中で暴れてるらしいからな。一つは鬼のもとからもてた意思。そしてもう一つは教会の刺客が送り込んだ意思だ。それによって破壊衝動が強まってるってことなんだろう。

「くっ……」

 なんか地面に向かってめっちゃバリバリとその鬼の角が輝いて焼きまくってる。周囲にいた砂獣とかも巻き込んでるが……ますます近づけなくなってる。

「まてよ……周囲の砂獣……か」

 自分は使えるかも……って考えた。たしかに今の解析率でその力を自分自身に流すのはリスクが高い。なにせ鬼さえもああさせてしまう破壊衝動に耐えられるのか……それは実際わからない。自分はそこそこ忍耐強いほうだとは思ってる。でも……自分はそれこそ過信しないようにしてる。だからこそ……これはありかもしれない。

「ノア、周囲の砂獣を使えないか? その力を周囲の砂獣に強制的に流す。それによって力が減衰すれば、鬼も落ち着きを取り戻す可能性がある」

 ある意味、今はその強大な力の中で意思がぶつかり合っておかしくなってるんだと思う。それを元の鬼の意思と力に傾ける事ができるのなら……いや、力を使わせると自然とそうなると思う。だから周囲の砂獣を使う。

(リスクがあるっすよ)

「承知の上だ。それに他のやつに流すことで、更に色々とできるだろ?」

(主も意外と悪っすね)

「そうだよ。自分はそこまで善人じゃない」

 なぜか全く信じてもらえないけどな!! そんな風に会話しつつ、周囲の砂獣を使うことにした。まずは手近な砂獣をレイピア風にした聖剣でちょんと串刺しにする。そこから毒を注入して動けなくして、ノアの組んだ術式を注入して、その体を鬼のエネルギーを取り込むように強制的にした。そしてそんな砂獣を鬼の暴れてる所に投げる。するとなんか風船のように膨らんで弾け飛んでしまった。

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