転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 707

黄金の鬼と対峙する。奴はでかい。それこそG-01殿よりも更にだ。そしてその眩しいほどの輝き。だが僕が注目してるのはその体の輝きじゃない。その身体自体からほとばしる強烈な力だ。

「ノアどうだ?」

(これはまずいっすよ。今の主の数万倍の力を内包してるっす。いや、これが全部じゃない可能性だってあるッスよ)

 ということらしい。ノアは一度裏切ったが、今は誠実に協力してくれてる。それに自分だけで全部をやるのは大変だ。自分の中にもう一つの思考があって、それが分担してくれるのなら、とても助かる。ノアはそれこそ精神やら、なんやら、思考の裏側やずる賢いことが得意だ。だからこそ、相手を分析することも得意なようだ。

 それこそ精神攻撃をするにはその相手をしる必要があるからなんだろう。それにしても数万倍か……いや、圧力でかなりの力の差があるのはわかってた。それこそ鬼のことは以前からG-01殿に聞いてたからな。あの方が最初は戦わずに逃げてた奴らだ。この力の差も仕方ないことだろう。だが今や、あの方はこれに戦いを挑み勝利してる。

 流石だ。それはたしかに自分よりも鬼との力の差が小さかったから……ってのがあるだろう。だが少なくとも今は、自分がやるしかない。これがサーザインシャインインラへと攻撃をすれば、それこと一瞬であの街はなくなり、すべての人が灰燼に帰す。それは絶対だ。上手く逃れる……なんてのはきっと無い。

 それだけの力をやつは持ってるし、もしも奴がその力を開放して暴れると成れば、それこそサーザインシャインインラだけじゃない。この世界が危ないだろう。正しく桁違い。砂獣なんて目じゃない……まさに反則級の存在がこの鬼だ。しかもどうやらこの色の鬼はG-01殿も始めてみたらしいからな。

 強化されてるのかもしれない。

(本当にやるっすか? 勝てないっすよ)

「死なないように、頑張るさ」

 出し惜しみはしない。自分の言葉に聖剣が応えるようにその輝きを増してる。聖剣は今やいろんな形へと変えられるようになった。この鬼に対しては今のままではかすり傷にしかならないだろう。ならでっかい剣にする? いや、もっと柔軟に考えろ。

「答えてくれるか?」

『勿論です。私の勇者』

 そんな優しい声が聞こえる。そして輝きと共に、見えてた剣が消えていく。でも握ってる感触はある。見えない剣。けどある。そしてこれは自由の剣だ。斬る範囲、長さ……すべてを感覚で把握できる剣。

 自分は動かずにその場で力を込めて上段から振り下ろす。すると鬼の右肩から胸にかけてきらめく力が溢れ出した。

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