転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 698

「ラク……エン。ラク……エン」

 体が変化したもう一人の教会の奴。一部だけしか変化してないやつと違って彼は全身が大きく肥大化して、肌も黒く、そして何やら全身から何やらウネウネとした尻尾が生えたような……触手とも言えるかもしれないが、なんかかなり変な見た目になってしまった。

「ふむ……大丈夫か?」

「ラクエンへと……至る……」

 心臓を取り込んだ彼はまともな思考ができなくなってるように思える。私も大丈夫? とかちょっと柄にもなく教会の奴を心配したが…… やっぱりだけど、彼はもうダメみたいだ。

「徳が足りなかったようだな」

 そんな事を言ってため息をつく先に腕だけ変化してるやつ。徳が足りないって……そういう問題なんだろうか? 徳があればあの変化に耐えられる? そうは思えないけど……そう思ってると何やら腕たけ肥大してるやつは肥大してない方の腕を使って、何やら出した。紙のような……板のような小さいな何か。それを醜くなってしまった触手のやつに押し付ける。するとそれが輝いて中へと入っていった。

「こうなってしまって有効活用してあげるのが徳のため。いってきなさい。あなたの心臓を巨人へと捧げるのです」

 そういう腕だけ変化してるやつは触手がウネウネした化け物に成り果てた同僚を送り出す。

「うっぐ……私も楽園への入場券を手にするために行きましょう」

 そういう腕だけ変化してるやつも次第にその体に黒い部分が広がってるみたいだ。首の所が黒くなってる。二人で鬼のところに行くんじゃないんだって思った。どうやら自分達で取り込んだ心臓を鬼に与えるみたいなことを言ってた筈だが? それで鬼がどうなるか興味はあったんだけどな。十中八九、そんな微細な力では鬼をどうにかなんてできないと思う。何せ鬼はG-01から見ても膨大な力を持ってる。

 それはつまりは人がどうこうできるレベルじゃない。腕だけだった変化がそいつの全身へと行き渡る。するとさっきの触手のやつとは違って、ちゃんと人型をそこそこ保ってた。

 人型のまま大きくなって、その腕には右手に刃が、そして左手には大きな盾が直に生えてた。

「あが……がががが……私は……負けない」

 どうやらこっちはまだ意識を保ってるようだ。これで人間……と言えるかはわかんないけど、その精神力はなかなかだね。それに安全圏で人を操る奴らよりは自分自身を犠牲にしてまで行動するこいつらはまだマシかもしれない。

 まあそもそもこいつらあの心臓の実験体……みたいな感じがしないでもないけどね。触手の方は鬼の方へと向かって、そして意識が残ってるやつはサーザインシャインインラへと向かっていく。

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