転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 696

「ん?」

 なにやら飛んできた。私はそれをギリギリでよける。まあ別にあたっても良かった。だって私……というかドローンはいくらでも変えはあるからね。でもちょっとは驚いた。だってドローンの電撃は数メートル範囲に強力な電気を撒き散らすというものだ。

 それは殺傷力はそれほどでもないけど、でも体をしびれさせるくらいは簡単にできる……というほどの攻撃だ。回避するすべはそれこそ魔法で身を守る……とかしか無いと思うけど、そんな暇は与えなかった。完全に死角からの不意の一撃だった。直前に気づいてたけど、何かをしてた暇はないはず。

 だから確実にあたったと思ったんだけどね。どうやら何か回避手段があったようだ。電撃が収まってみえたのは、なにやら黒い腕を出してる教会の奴だ。教会の奴らは漏れなく、なんか変な外套というかローブを羽織ってる。全身すっぽり覆うタイプのこの暑い世界では奴ら以外そんな暑い服装をやるやつなんて居ないって感じの服装だ。

 まあだからこそ見分けるのは簡単なんだけどね。魔法的に色々と仕込まれてるあの変なロープはどうやら熱くはないらしい。そこらへんもちゃんと調整するような機能が魔法としてついてる。でも……流石に人間やめさせる機能があるとは……いや勿論そうじゃないけどね。

「おお、これが心臓の生存能力か」

 なにやら自分の腕を変異させられてるのに教会の人は「素晴らしい」とかおもってるらしい。それ元に戻るのとか心配にならないのだろうか? 明らかに身長よりも長く太くなった腕。そして黒くなって、ところどころから棘のようなものが見えてる。絶対にやばいと思えるが……それを自覚してないようだ。持ってた心臓がなんか同化してるようにみえる。

 それともあれは幻影的なものとか? 魔法的にそう見えてるだけみたいな? とりあえず変化した腕もスキャンしてみる。

「ふむ……本物だけど……」

 ちゃんと脈も通ってる本物の腕だった。筋肉と骨が肥大化、さらに分裂して、はっきり言って腕の外に腕が出来て、更にその腕の外に別の腕が出来てあの腕を形作ってるって感じのようだ。絶対に異常だよあれ。

 感心してる場合じゃない。

「ふん!」

 その瞬間、映像が途切れる。どうやらやられたみたいだ。見えなかった。それだけのスピードをあの大きさで出せたということだろう。とりあえずさっき何をやられたのか、別アングルに居たドローンの映像をみる。

 別角度から更にスロー再生にするとわかった。なんか腕の一部が爆発してるね。まさか自分自身を爆発させることで推進力を得るとは……生物では考えられないことをやってない? それってある意味G-01やこのドローンのように非生物的な考えだよ。

 自分の体を代用できるものだと思ったやり方だ。とりあえずこっちに気づいてないから、感度を上げて奴らの言葉を拾うことにする。さっき一体ドローンを倒してやつらは安心してるからね。

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