転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 693

「あれは…… 一体なんなんだ!?」

「あれはまるで聖典にある世界を踏み荒らす巨人……」

「そんなわけはない!! 巨人は鐘を鳴らすまでは宵を超えることはできぬ!!」

「ですが……あれはまさしく……聖典にある姿そのもの……」

「あんな黄金ではない……」

 遠くからサーザインシャインインラを見てた教会の一団。そいつらにドローンを近づけて会話を盗み聞きしてる。どうやらあの鬼は教会もやっぱり想定外だったらしい。まあこっちのせいといえばせいだからね。奴らにとっては予定外でもおかしくない。

 でも気になる言葉がある。聖典とか巨人とか…… いや鬼は私が勝手に鬼と呼んでるだけで、普通に考えたら巨人と呼ぶのはおかしくない。だって鬼たちは人の数倍から数十倍はでかいしね。

 普通の人たちからしたら…… というか人間からしたら確かに巨人だ。私が鬼と言ったのは私はG-01に乗ってるからだ。G-01も大きいからね。ロボットという括りではそんな超巨大ロボというわけでないG-01だけど、普通の人から見たらG-01だって十分に巨人と呼ばれるくらいにはでかい。

 まあだからそんなG-01に乗ってる私から見たら鬼も巨人という言葉よりも鬼が先に出たのだ。だからよく考えたら巨人って言葉は何もおかしくない。

「奴らの聖典か……普通の教会にあるようなやつじゃないよね」

 実は聖典ならアズバインバカラの教会にだってある。てかどこにでもあるだろう。だってそれが教本なんだから。そういうのを片手に説法をするみたいなさ……そんなイメージがあるし。でも一応教会のものということで私も見たことある。

 というかスキャンして表示することだってできる。G-01は本当になんでもできる。別にデータになってるから、ページ毎に表示することだってできるが、本として立体的に表すことだってできるのだ。まあそれは流石にこの場所、私がいるコクピット内でしかできないようだけどね。

 一回読んだけど……そんな巨人なんて出てたっけ? 一応パラパラとしてみるが……面倒だから「巨人」というワードをこの本の中から検索することにした。ワード検索もできるなんて便利。そんなの普通とか思うなかれ……なにせここは別の世界だ。当然このG-01が作られた世界とは別のはずで、つまりはこの世界の文字はこの世界に来てたから得たものなのだ。

 それをすでに文字から検索できるほどにインプットしてる……すごいことだよ。

「やっぱりないね」

 検索結果はゼロだった。そこらの教会に配られてる聖典とこいつらが言ってる聖典は違う可能性がある。中央の……それこそこの世界が終わった後に行ける楽園? とかに行ける奴らしか知らない聖典なのかもしれない。

「ベイルベンの遺児はどうなってる?」

「遺児たちは活動中です。性能は我らが我らの想定通りかと」

「制御はどうだ?」

「雑音はありますが、問題ないかと」

「遺児なら巨人の影響は受けないか……それならば問題はないな。ヌメリアを捕らえよ。奴にはこれからも遺児の材料を量産してもらわなくてはな」

 やっぱりどうあっても教会ってクズなんだなって思った。

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