転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 679

「うわぁああああああああああああああああああああ!!」

 駆け出した少女は、男たちをすり抜けて砂獣へと迫った。けど、あと一歩って所で躓いた。

「きゃっ!?」

 そんな可愛らしい声を出してベチャッと頭から倒れる。形がいい締まったお尻が高いところに掲げられてる。それをみて一瞬……本当に一瞬、皆さん止まった。まさに「え?」って感じだ。でもそこに砂獣が空気を読まずに顔を突っ込ませる。勿論、その子のお尻に顔を突っ込みたかったわけじゃないだろう。

 私だったらその形のいいぷりっとしたお尻に顔を突っ込んでたところだが、砂獣はそんな事を思ったりしない。もしかしたらうまそうな肉が目の前に!! とかは思ったかもしれない。まあつまりは食べようとしたわけだ。

 だから慌てて周囲の男たちが割り込んだ。

「ガキは引っ込んでろ!! これは遊びじゃねーぞ!!」

 そんな声に一瞬ビクッと彼女はした。けど、そういった男性を一睨みする。鼻の頭が赤くなってるし、ちょっと目に涙も溜まってるから、全然怖くはないけどね。寧ろ可愛い。愛おしいと思えるかもしれない。

「私だって戦えるんだ!」

 そう言って彼女は再び駆け出した。

「あっ、おい!!」

 そんな彼女に「しょうがねえな」って感じで武器を取った男性のみなさんが後ろを追いかけていく。そろそろ数を増やしてもいいかな? なんて思ってたが、とりあえず彼女のことを思ってもうちょっと勇者には数を調整してもらおう。どうせいくらでも砂獣なんて湧くのである。

 本当ならそれ自体は絶望でしか無い。だって目の前の砂獣を何体倒したって意味なんて無いってことになる。砂獣は生命体ではなくて、この世界がその理を元に生み出してる怪物だ。だからこの世界がある限り砂獣は生み出されて、そのルールは知らないが、波を起こすほどになるとその製造スピードは跳ね上がるみたいだ。でもそれなら、波が起きた後に砂獣の数がめっちゃ増えて連鎖的に他の街も襲われて世界が終わるんでは? っていう疑問が浮かぶ。

 でも実際、波で起きる砂獣の急増は、一つの都市を飲み込むと一気に消えるみたいなんだよね。波が起こっても、一つ以上の都市が同時に消えた……なんて記録はない。多分そういうふうにこの世界はなってるってことだと思う。波で消す都市は一つだけ……それが砂獣にもプログラムされてるというか、そんなことなんだろう。

 まあだからいくら増えようと、ここで終わりなんだから気にする必要もないってことだ。ちゃんと世界が調整してくれる。

 まあこの波には協会がかかわってるから、ちゃんと世界のルール? が適用されるかって疑問は有るけどね。でも増え過ぎたら密かに私が処理すればいいだけである。問題なし!

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