転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 663

若い神父が白目をむいてヌメリアさんの上に倒れる。それを鬱陶しそうに彼女は押しのけて起き上がった。

『大丈夫ですか?』

「このくらいなら日常ですから」

 そういうヌメリアさんは色々とゴシゴシとしてるが……タオルとかないから不快感は拭えなさそう。それでも日常というヌメリアさんなら気にならないんだろうが……私は浄化してあげることにした。ドローンが下側から霧吹きみたいなのを出して、それをプシューとかける。特別な液体が調合された物が霧状になってヌメリアさんを包む。消毒もしてくれるし、清潔にしてくれるし、それにいい匂いもするというなかなかに万能なスプレーだ。

 それにベタベタすることも、びしょ濡れになることもない。

『それで清潔になったはずです』

「ありがとうございます」

 さてと、ヌメリアさんもきれいになったことだし、ここの武器を開放して外の人たちに使ってもらいたいところだ。多分普通の武器よりもここの武器は強力なはずだしね。沢山あるが、これが使える人達はきっと50人もいないよね。

 一般人もこれを持つと戦えるようになる……とかだったら良いんだけど……それならこのサーザインシャインインラの人たちが自身で奪還するっていう心打つ物語を展開できるじゃん。このままだと勇者と私が出張ることになる。それはね……

「彼は体液の接種が必要とか言ってましたけど……」

『それってお互いに……じゃなくてその武器に血とかを与えれば良いんじゃないのでしょう? それか唾液とか?』

「試してみましょうか?」

 それがいいかもしれない。実際若い神父はヌメリアさんと体液を交換してたが、それってなんの意味もないでしょうって言いたいよね。その武器に与えないと駄目でしょ。とりあえず私はドローンによってここにある武器をスキャンしてみる。

『そこそこエネルギーを蓄えてますね』

どうやらここの武器にはそれなりのエネルギーが込められてるようだ。実際私からみたらそこそこであるが、この世界の人達に取っては凄いエネルギーが込められた凄い武器……だろう。それからこれの封印を解除する簡単な方法が無いか……を探る。だってもう既に戦闘は始まってる。でもこの武器……ここに固定されてるからね。持ち出すことができない。

 ここに来て体液を与えないと駄目って、今の状況でその余裕はない。いや、勇者なら一次的にでも一人でどうにか出来るかな? でももしも裏のやり方でここの武器を開放する事ができるのなら、それが1番じゃん。わざわざここまで来てもらうの大変だし……だから私はどうにかできないか、それを調べるよ。

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