転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 661

若い神父がようやくその腰を上げてヌメリアさんを案内しだした。宮殿の通路を進み、人気のないところへといく。それを観てると、実はこいつヌメリアさんとイイコトするためにベッドの有る部屋にでも誘導してるのでは? とか思った。

 だってこのサーザインシャインインラには危機が現在進行系で迫ってる。だからこそ人間とかは生存本能が刺激されてるはずだ。そうなるとさ……子孫を残そうとするじゃん。実際の所、子宮が都市核となってるヌメリアさんでは子孫を残すなんてことはできない。

 でもそんなのはこの若い神父は知らないわけで、そしてヌメリアさんは男なら誰しもが放っておけないくらいに美人だから、きっと子孫を残してたいって本能は最高潮に刺激されると思う。だからこの若い神父もその欲望に耐えきれなくなる……かもとか思ってたがどうやらそうではなかったらしい。

 人気のない通路。その通路の途中で止まる。なんかこの宮殿では珍しく、枯れた花がそのままになってる花瓶の前。そこに立って若い神父は言葉を紡ぐ。祝詞のようなその言葉を紡ぐと花瓶の後ろの壁になにやら光る文字が浮かび上がる。そしてアーチ状に光が集る。決して眩しくはないが、柔らかくしってる者だけを誘うような……そんな光だ。

「隠し通路ですか……しかも魔法の」

「ここに教会の切り札が有ると、思えるでしょう?」

「確かにそうですね」

 神父の言葉にヌメリアさんは軽く返してる。魔法はこの世界では基本、その技術を協会が独占してる。だから魔法がかかわってることは大体教会がかかわってる。その証明になる。この先に教会が与えたサーザインシャインインラの切り札が有るというのも、頷けるというもの。ヌメリアさんと若い神父はその中へと入っていく。そのさい、若い神父は「どうぞ」といって手を差し出していた。

 確かにヌメリアさんと手をつなぎたい……その気持はわかるけど……とか思いつつ二人の後に続いて私は光の扉に阻まれた。バチッという抵抗感が襲う。二人はなんの問題もなく通り抜けたのに……

「あの変態……ただ無意味に手を取ったわけじゃなかったのね」

 きっとあの若い神父がヌメリアさんの手を取ったのは、ここを通り抜けるためだったんだろう。資格がある人がいないとここを通り抜けることはきっとできないんだろう。厄介な。

「まあ、厄介なだけでどうにもできないわけじゃないんだから」

  私はそう言っでまずはドローンでスキャンする。そして術式をあぶり出す。

「丸見えだね~」

 教会の奴らは自分たちが魔法という武器を独占してるからだろう。魔法に対して危機感がない。自分たち以外が使うことはないからってことなんだと思うけど、ちょっとスキャンしただけで、本物の術式が見えるとか……警戒心ゼロなのを物語ってる。

 私だってそんなに魔法に詳しくはないが、G-01の中にある知識やら、それこそ私よりも魔法戦をやってきた勇者や魔王によると、術式にはダミーを混ぜるのは当たり前のことらしい。世界によってもしかしたら違うかもしれないが、魔法の術式というのはようは機械で言うところの設計図だ。それをモロ出ししてたらどこが弱点とかまるわかりじゃん。

 だからこそ普通はそれを見せないようにするとかカモフラージュを用意してるとかあるらしい。でもこの世界の教会の奴らはそんなのしてない。だから見破る必要なんて無いのが楽でいい。それにそこまで高度かというとそうでもない。

 ギリ、今の私でもどうにかできそうなレベルの魔法のレベルなんだよね。まあ実際、解析をしたらG-01のシステムに投げて、どうやったら通り抜けられるかを検証してもらって、私は出てきた結果通りにこの術式を組み替えるだけである。

 

 その時に精密な力の操作が必要だけど、やり方は全部G-01が示してくれる。だから結構イージーモードだと思う。

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