転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 596

子供達は見つけた宝石が背中に埋まってるサソリと戦ってた。

『そっちに行ったぞ!」

「させるか!」

「うわうわ! こっちきた!!」

 三人は棒を振り回しつつ、応戦してる。それでどんどんと路地裏に追い込んでいった。けど振り下ろした棒は悉くかわされてはいる。サソリもしぶとい。そうしてサソリは少年の一人の足下を走って、その足首に……

「いてええええ!」

 ブスッとその針を刺したようだ。少年の一人は足を押さえてうずくまる。

「隊員の一人がやられたぞ!」

「この野郎! 仇はとってやる!!」

 残った少年二人は刺された一人のためにも……と更に躍起になって棒を振り回す。けどサソリはすばしっこかった。

「ううう、二人とも気をつけて……」

 刺された少年は足を押さえながらそんなことを言う。それに対して二人は「任せとけ!」と返す。更に逃げ出したサソリを追って二人も走った。けどその時、先に走ってた少年が「うわっ!?」と声を上げる。

「どうした?」

「あああああ! 服の中に入ってきやがった!」

 そういってあたふたする少年。確かに少年の服の中では何やら動いてる生き物が見えていた。それを見てゾッとするが、ガキ大将の少年は急いでこういった。

「服を脱げ!」

「そっか!」

 それに従って服を脱ごうとめくり上げた。けどその時、「うぐっ!!」という声と共に少年は止まった。そしてその態勢のまま膝を地面に付きそして固まってしまった。

「おい! どうしたんだ!?」

 その言葉に服で見えない顔の位置から「さされた……」と弱々しい声が聞えてきた。どうやら服の中に入られた少年も刺されてしまったらしい。

「許さねえ!!」

 ガキ大将の少年は棒を力強く握りしめて復讐を誓った。あのサソリだけは絶対に許すことは出来ない。自分の子分を二人もこんな目に遭わせて、それで見逃したとなると親分としての威厳が保てない。そう考えたのだ。それに子分をこんな風にしたのは完全なる宣戦布告。決闘の証だと彼は考えていた。

  

 カサカサと目に入ったサソリ。それにめがけて「うおおおおおおおおおおお!!」という声を上げてもってた棒を振り下ろす。だがそれを素早くかわすサソリ。そして引き戻す前になんとその棒に飛びついてきた。

「馬鹿が!!」

 ガキ大将の少年はそう言ってそのまま壁に棒をたたきつける。勿論サソリが張り付いた面を壁に向けて振り抜いた。けど、衝撃と振動が少年の腕に伝わってくるだけで、何かを潰したような気持ち悪い感触は無かった。それはその通りで、どうやらサソリは直前で棒を上手く移動してたみたいだ。そしてしびれてる少年の隙を狙って棒を伝って腕へとやってきた。

 その時の感触に少年は「うわっ!?」と声を上げる。けど気持ち悪いと思って腕を払ってもサソリは全然落ちない。ただひたすらに腕を上がってきて、そして首を伝って顔に張り付いてくる。そこまで来ると恐怖が降りかかってくる。少年の目には大きく映るサソリの棘が見える。

「ごごご、ごめんなさ――」

 そんな言葉を紡ごうとしたが、そんなのサソリは聞いちゃ居ない。サソリの針は彼の耳へと入り込んだ。そしてその瞬間、少年の意識は途絶えたみたいだ。白目を向いてる。そして不思議な事にサソリは少年の耳の穴を尻尾でグリグリとすると、それを抜いて、今度は体をねじ込んでいく。そしてその姿は少年の耳の中へと消えた。

 それと共に少年の体はビクビクとはねて「あっ」……「うっ」という声が漏れる。そしてしばらくすると、少年はフラフラと白目のまま立ち上がり、歩き出した。

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