転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 589

「そもそもの話として、貴方たちは労働者側の代表と言うことで良いのですか?」

 なんか話もまとまりかけてたとき、アイの奴がそんなことを言い出した。ジャルバジャルから来た人達は「え?」という感じになってる。今更、そんなことが何か関係あるのか? ――って感じだね。

 でもどうやらアイにとってはなかなかに重要なことらしい。

「どうなんですか?」

 こうやって念を押す程度にはね。それに対してジャルバジャルの人達は互いに顔を見合わせる。

「えっと……代表なのかというと、そう言うのとは違うかもしれないですが……」

「そうだといえば……そういう感じなのかも?」

 なんか煮え切らないような答えである。それは勿論アイも思ったようだ。

「貴方たちがここに居ると言うことを、どれだけの労働者が知ってるのですか? 直談判すると言うことを他の労働者はそもそもがしってるのかも知りたいですね」

「それは……一部の奴等はしってるが、流石に全員は……」

「知り合いじゃない奴等だっているし……」

「でも、大体呑んでるときに知り合った奴等なら今のスケジュールに不満があったのは確かで、後押しはしてくれました!!」

「貴方たちを支援した人達は、同じようなことを説明すれば、乗ってくると思って良いと言うことですね?」

「「「……はい……多分」」」

 多分の所は三人ともとても小さな声だった。けど私や勇者、アイがそれを聞き逃すわけは無い。実は既にここにアズバインバカラのお偉いさんも来てるわけだけど、話に入ってくることは無かった。たぶんラパンさんに報告はするんだろうけど、アズバインバカラ側から何かを言ったりすることは無いらしい。

 完全にアイに任せてる。そしてアイは自分の思ってたとおりの契約をもぎ取ろうとしてた。それはつまりは最初のアイの効率的なスケジュールで行くって奴だ。アイが案外労働者達の事を考えてたってのもそうだが、やっぱり決め手は期限が三ヶ月って事だったみたいだね。

 そもそもがジャルバジャルの復興が終われば、彼らには報酬として家が与えられることになってる。それはとても大きな事だ。なにせ周りが殆ど砂で物資も乏しいこの世界では家とかを作るのだって大変なのだ。

 まあ今は私が作った施設が物資を生産してるから、前よりは簡単に街自体を広げることができるかもしれないが、それでもだよ。だからアズバインバカラだって物価とか高い。それでいてしょぼい家くらいしか借りられないというか……ね。

 大体の賞金稼ぎとか、平屋にたこ部屋住みである。そんな奴等に自分達のしかも一軒家を持てるのだ。しかも跡三ヶ月頑張るだけで……これは大きい。いくら家をあげるって言っても何年も何年も労働を強いられるのはつらいだろうけど、三ヶ月なら……ということでここの奴等は今のアイの効率的なスケジュールを受け入れることにした。

(でもそうだよね。ここの人達だけでは不十分か)

 また同じようなことが起こっても面倒くさい……とアイは思ってるんだろう。実際面倒だし、こうやって時間的ロスにもなる。だからアイはこう言うよ。

「新たな、きちんとした契約書を作りましょう。それで皆の意思を統一できれば、更に連帯感もうまれるでしょう。その時には貴方たちにも働いて貰いますよ」

「え? 俺たちも?」

「ですか?」

 何をやらされるんだろう? とビクビクする三人組。そんなに怯えなくても危険なことではないと思うけどね。

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