転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 560

「放屁……だと?」

「ええ、放屁ですよ!」

 なんかめっちゃどや顔でアイの奴は言ってるが……そんな綺麗な顔で何回も放屁放屁と言うものではないと思う。特に女の子が……ね。あれかな? アイはそもそもが肉体なんてもってなかったAIだから、放屁……というかオナラにかんしての感覚が薄いのかもしれない。恥ずかしいっていう思いがね。そういう恥に近い行為という感覚が無い。

 いや、一応一般常識的な物は持ち合わせてるはずだけどね。そこら辺は普通にある物だろう。

「ようは貴様は戦ってる最中、ずっと屁を放ってたという事か?」

「ええ、気づかなかったでしょう? 音とか気にしてましたからね。この体になって一番の大仕事でしたよ。お腹と肛門の調整が……ね」

 またまたどや顔してる。そんなにオナラをこいつは自慢したいのか。確かに下手にプップップと動く度に鳴ってたんじゃ戦闘がなんか間抜けなことになってしまうよね。そうならないためにも、アイの奴は頑張ったらしい。いやそう言うことのためじゃなくて、ただたんに魔王にバレないためみたいだけどね。

 戦闘中にずっとオナラしてたら、流石に変に思われるからね。もしかしたらお腹の調子を心配してくれるかもしれないけど……どうだろうか? トイレ休憩を提案してくれる……訳ないな。

「そうか……屁か……くく……はははははははは!!」

 なんか魔王がいきなり笑い出した。けど笑いたくなる気持ちもわかる。だってどや顔でオナラしてました! 戦闘中に!! って言ってるんだもんね。それは笑いたくもなる。いや、寧ろ魔王なら「馬鹿にしてるのか!?」とか言ってもおかしくないとも想うけど……どうやら魔王は笑うらしい。

「笑ってる余裕があるんですか? 貴方の体には既に私のナノマイクロデバイスが回ってます。もうまともに動くことも出来ませんよ?」

「ふっ、屁に負けるか……気に入らない奴かと思ったが、その勝負になりふり構わない姿勢、嫌いじゃ無いぞ」

「負け惜しみをありがとうございます」

 なんか変な会話してるね。アイの奴はこれで終わりだと言い、魔王は屁で負けたことをあっぱれという。いや、まだ魔王は負けたなんて思ってないと思うが。確かになんか「負けた」といってるけど、魔王の闘志は全然堕ちてない。そしてそれはアイだってわかってるだろう。

「我も色々と格好つけてばかりではいられないな」

「同じようなことをしても無駄ですよ。私はきちんとそちらの臀部の筋肉の動きさえ把握してます」

「……気持ち悪い奴だな」

 本当にね。え? なに? アイの奴魔王のお尻の動きをもしかして気にしてたの? あの計算って……なんかアイが面白い奴に思えてきたよ。

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