転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 537

『魔王の反応が消失しました』

「うん?」

 AIがなんかいきなりそんな事を言ってきた。私的には色々と変更されたG-01の機能を一つ一つ把握してるから、それに時間をとられて大変なのに……止めて欲しい。一瞬聞き流そうかなって思ったけど……でもやっぱり聞き流しても良いかもしれない。だってこの前も一回反応が消失したんだよね。確か魔王が旅立ってすぐの時期だった。

 その時はさあどうしようか? 助けに行った方が良いのか? とそれなりに慌てたけど、少ししたら反応が返ってきたから、心配損したのだ。その経験があるからね。つまりは……

「まあもうちょっと放っておいて良いでしょ。あいつだって過度に歌唱されるの嫌いだろうし」

 てか私たちから小言を言われるのはイヤだと思う。あいつは自由気まま……が多分根底にあると思う。なにせ魔王なのだ。まあ私から離れる事は叶わないけど、それでも過度に干渉して関係が悪くなるのは避けたい。なにせそんなのは面倒だからだ。だからとりあえずは放置だね。

「とりあえず数日は様子を見ましょう。魔王は今、自由を謳歌してるからね」

『おかしな存在が、魔王に接触した形跡がありますが?』

「まあ魔王だし、反旗を翻しても何ら不思議じゃないとは思ってるよ」

 勇者はとても従順だけど、それは勇者だからだろう。逆に今まで魔王がなんの反抗もなく素直だった方がなかなかに違和感強い。勿論、言葉とかは勇者よりも乱暴だし、言い返してくる事も沢山ある。けど、それでも一緒にここまでそれなりに仲良く、上手い関係を築けてたと思う。

 それもあんまり苦もなくね。それは今考えたら、魔王がとても我慢してた結果なのかもしれない。あいつがなにか含んでるのはわかってる。なにせ魔王は魔王だけに誰かの下にいるようなやつではない。

 それは薄々わかってる。でもだからって、私にもどうしようもね……なにせ勇者と魔王は私の最終切り札の武器なのだ。けど今なら、色々と作れる物は増えてる。なにせとても凄い建造物まで私はこのG-01の機能を使って作り出してしまった。色々とアップグレードしたG-01の力なら、さらに私に付属してる勇者と魔王も実はアップグレード出来るのだ。

 でもそれを言わないでいたのは、それだけじゃ魔王は納得しそうにないかなって思って。なにせあいつは自立心が強いと思うんだよね。私から与えられてばかりではそれはあいつは自分自身を許せないんじゃないかな? 魔王とはそういう奴だ。なにせいつだって力と戦いを求めてる。そしてそれに貪欲だから、私から受け取れる力は受け取るとは思う。それらも全て利用してやろうって言う貪欲さがあいつにはあるし。でもそれでも完全に私の下につくなんて事もない。だから今回旅立ったと思うんだ。あいつはまだ自分を……自分自身を磨く事を諦めてないだろうしね。まあ私としてはどっちでも良い。

「とりあえず、魔王が自立できるようになにか対策してた方がいいかもね」

『それで良いんですか?』

「別に勇者や魔王を縛りたいわけじゃないし」

 なのでまあ、最悪の事態くらいは想定して、そして困難なら乗り越えて貰おう。勇者だって私だって、それなりの困難を乗り越えてパワーアップして来たのだ。なので魔王も自立したいのなら、それなりの事をして貰わないといけない。だから助けには行かないよ。頑張れ魔王。

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