転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 535

我の体が金色に変わって、再び咆吼を上げた。だが今回のそれは、野性的なそれとも違ってたと思う。我の声とは思えないような、そんな甲高い声。既に我の姿も維持してないから、これがなんなのか、わからなくなってるところはある。

 だがそれでも我の意思はちゃんと存在してる。今は大人しく事の成り行きを見守ってるだけだが、きちんと我としてこの体を乗っ取れるように、その心構えはしてるつもりだ。なにせ今外に出てる神の力そのものみたいなのは、本当にただ純粋な力でしかない。

 神の力と言っても、意思がなければただの破壊衝動にしかならないのかもしれない。目の前にある物をただ破壊する……のかは正直わからない。我がこの球体を破壊したい……と思ってたから、それに則って行動してる……のかもしれない。

 だがそれを行って、そしてその先に、この体がそのままここのパーツを破壊しそうになる……と言う事がないとは言えない。いや、今の感じ、とてもそれはあり得ると思ってる。なにせ制御できてないからな。

「あきゃがあああああああああ」

 とかいうこえを上げながら、黄金の拳を突っ込んで、そしてそれを今度は横にふるって無理矢理球体を破壊した。どうやっても破壊できなかった球体はこれにてその役目を終えたのだ。

(よし! これで――)

 阻むものはなくなった。だが、やっぱりだが、我のこの体は止まらない。沢山あるパーツの中から、『変換高効率コンテナ』を目指してる。やはり我の意思がわずかにでも残ってはいるようだ。それに従って行動してる。我が一番欲しいのはあれだったからな。

「まさか……ウルリルが破られるとは……その力、危険と判断します」

 パーツを護ってた球体『ウルリル』がなくなった事で、AIはさらに我を敵だと認識したようだ。本当は平和的に行きたかったが……だが、シザーラス人の作った物と戦うのも心躍る事実。惜しむらくは、今は我自身は何も出来ない事だ。ただ、力が暴走してる。なんとかして、前に……表に出たいところだが、我の力よりも神から貰った力がこの体を満たしてるせいで、我の意識が表に出る事が出来ない。

『ここのパーツは空獣に対抗するためのものです。そして未完成なユグドラシルの子らにその機能を追加して貰うためのもの。もしも貴方がその候補に入れるとしても、今の貴方にここのパーツを託す事は出来ません』

 そう告げるAI……そして次の瞬間、なぜか我は吹っ飛んでいた。床にめり込む体。見上げると、そこには我を攻撃してた管が寄り集まって、人の上半身を形作っている。どうやらあれに攻撃されたらしい。

 そして奴は告げる。

『ここのパーツが欲しいのならば、自分の力くらい制御して見せなさい。その力の総量は、期待できる範疇に入ってると宣告しましょう』

 何やらそんな事を言ってくる。つまりは力だけなら、ここのパーツを託しても良いと思えると? だがこんなただ凶暴な奴には渡せないから、きちんとその力を制御しろって事らしい。それが出来たら改めて交渉できるか……神の力様々だな。我の力ではなく、きっとこの一回でなくなりそうたが、それでもこいつに、託しても良いと思わせられたのは神の力のおかげだろう。

 なら後は我がやるだけだ。我がこの力を制御する。やってやろうではないか!!

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品