転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 509

 犯人は現場に戻ってくる……そんなことを聞いたことがあるようなないような気がするが……まあこの場合は戻ってくるなんて事はないだろう。何せ犯人は蜘蛛人間ヌポポだ。そしてここは簡素な牢屋だし……再びあいつをここに押し込めない限りそんな未来はこないと思う。
 犯人は現場には戻ってこないが、自分的には現場を観てみる必要があると思ったから、ここにいる。何かあるかもしれない……そう思ったからだ。忽然と消えたかのように居なくなってた――そういう風に聞いてて、この場所も別段荒れては居ないとのことだった。そしてそれは正しい。綺麗な物だ。
 けどわざわざここに来たのは別にその報告を信じてなかった……とかではない。ただ普通の人では見えないような痕跡があるかもしれない。そう思ったからだ。それは勿論、魔法的な物だ。この世界の人達は協会関係者じゃないとそういうのを感じることも出来ないからな。
 だからこそ、そういう痕跡というのには疎そうと言うか……それがあるんだよね。実際……力を目の所に集中させてると魔法の痕跡が見える。僅かだけど、使われた力の跡というか……そう言うのだ。

(これは……)
「あらあら、これはまた見事に逃げられましたね。うふふねえねえ今どんな気持ち~?」

 こいつ……マジで自分の立場分かってる? ペニーニャイアンの奴は自分に付いてきてそして後ろの方から煽ってくる。拷問してやろうか? それが出来る立場にあるんだけど……どうせやられないと……そんなひどいことはしないとこいつは高を括ってる。
 でも今までのペニーニャイアンを思えば、拷問くらいはしたって全然良いと思う。それだけの悪事をこいつはしてる。ただ、自分的には気持ちいい物ではないからやらないだけだ。こいつは自分の身の為なら、どんな情報でも簡単に喋るからな。脅す必要もなかったし……そうなると、拷問とかやる意味が無い。
 プライドはあるが、一番自分の命が大事で、そのためならどんな物でも簡単に差し出す。何回もベッドにも潜り込もうとしてきてたしな。きっと自分を籠絡すれば……とか考えてたんだろう。勿論結界を張った。
 ペニーニャイアンは見た目だけなら美人だ。けど……その美しさの為に一体何人の人達を犠牲にしてきたのかを考えると、そういう気持ちにはならない。まあとりあえずペニーニャイアンは無視しておこう。五月蠅いし。
 問題はこの力だ。

「どうやら蜘蛛人間ヌポポは外部の力を借りたようだな」
「自力ではどうしようもなかったって分かって良かったですね。溜飲が下がりました? むふふ」

 こいつ……回復魔法で直してやるから一回くらい殴っても許されるよね?

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