転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 508

「なんだって?」

 自分は思わずそんな声を上げてしまった。なぜなら、蜘蛛人間ヌポポが居なくなった――という報告を上げられたからだ。自分の反応にその報告に来てくれた人がもう一度同じ事をいってくれる。

「は! 捕らえてた蜘蛛人間ヌポポが今朝確認したところ、その姿を消していました!」

 何でそんなに元気いっぱいに言うの? とか思うがそれはこの人が悪いわけじゃない。きっと報告は完結に、そして大きな声で正確に……とか言われてるんだろう。それはありがたい。けど……

「牢が壊されてたとかは?」
「ありません。突如としてというか、忽然ときえたかのように何も牢には変わったところはなかったと言うことです」
「そうか……ありがとう」
「は!!」

 なんか報告に来てくれた人はとても嬉しそうに帰って行った。多分自分と話せたとこを喜んでくれてるんだろう。けど……こっちとしてはなかなかに落ち込む出来事だ。

「ふふふ、悔しいですか? 貴方のそんな顔が見れて、私は楽しいですよ」

 そういうのはペニーニャイアンだ。こいつは無事だった……というか、やっぱり同じ部屋にしてたから手を出さずに蜘蛛人間ヌポポは消えたのか? さっきの人の言葉的に被害はなかったと観て良いだろう。もしも王様とか誰かが浚われたりしてたら、一緒に報告してくれてたはずだ。一番その候補に挙がりそうなのが、王様達王族の家系か、後はこのペニーニャイアンとそしてピローネとか、後はネナンちゃんだろう。
 いや、教会の奴等がネナンちゃんの存在をどれだけ高く評価してるのかそこはまだ聴いてなかった。だから王族の他に狙うとしたらこいつかピローネと思って、不本意ながら同じ部屋にいたわけだ。本当ならペニーニャイアンとかは軟禁しといた方が良いんだが……この世界の魔法はまだまだわかんないことがおおい。

 いや蜘蛛人間ヌポポにそれなりに聞いたけど、ヌポポは教会にいなかった期間も長いらしくて、結構古い知識らしかったからな。ヌポポが居ない間に新しいえげつない魔法を開発してないとは言えない。そしてそれは観ただけでは分からない可能性はある。
 今までも魔法を使ってないからペニーニャイアンをこれ以上警戒することはないのかもしれないが、それでも他の人達は不安がってるからな。だからこそ、自分が引き受けてるわけだけど……それが功を奏したのだろうか?
 それともやっぱり蜘蛛人間ヌポポはこの二人には興味なかったのか。今となってはわからない。てか自分の魔法で縛ってたはずだが……そこが自分にダメージを与える要因だ。あんなに自信満々に大丈夫――といってたのに……端的に言うと、この失敗はそれなりに恥ずかしい。

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