転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 475

 ピローネの中には何かある。塊のような……おぞましい何かだ。あれが多分ピローネをあんな姿にしてる。まあでも厄介だね。なにせ普通は心臓にある位置にそれがある。心臓に置き換わってるようにもみえる。外科手術でもしたの? っていいたい。 けど多分してはない……よね? それとももしかして小さな時に心臓とあれを入れ替えてて、いつでも自分達の兵器に出来る……そんな風にしてるとしたら……やっぱり教会は糞でしかない。
 糞……というかもう許せないよね。でもどうなんだろう。心臓をあんな物に置き換えて、それで生きていけるのかって疑問はあるし、やっぱりペニーニャイアンがなにかやったときにああいう存在として、置き換わったと見る方が自然ではある。そもそもこの砂獣の体にピローネの名残は一切無い。それだけ作り替えられたのか……とも思うけど、AIの意見としては別の考えもあるようだ。

『G-01もそうですが、元の素材によって限界があります。いくら強化しようと、頭打ちがあると言うことです。G-01は機械なので入れ替えていけばいい。それを想定されて作られてます。ですが、人の体はそうではない。けど、この砂獣と化した彼女の体。明らかに人としての限界値を超えてます』

 まあだからこそ、このままでは崩壊する――って事でもあると思うんだけど。限界値を超えての強化というか変質……それに体が耐えられるわけはない。元に戻れないとなると、本当に一度きりの命を引き換えにした手段。それを自分自身で選択してやるのなら、まあまだ納得できる。仕方ない――ともね。でも……きっとピローネはそこまでは知らなかったんだよね。
 ようはこんな子供……を騙して命を使わせた。それは許して良い事じゃない。

『分かってますか? 限界値を超えてるんですよ?』
「ああ、うん。だから許せないよねっ事でしょ?」
『違います。今のこの体はその少女の体ではないのではないかと言うことです』
「え?」

 なによそれ。そういう大事そうなことはもっとちゃんと教えてよ。

『限界値が違うのですから、元々の素材が違うのでは? と疑問を持つのは当然です』
「でも……そう言う物かと思うじゃん」
『無知……馬鹿とは恐ろしいですね」
「おい、なんで言い直したのよ」

 そこは無知で良いでしょう。なんで馬鹿にしたの? そんな気づくような事じゃなくない? だって勇者の記憶にはピローネちゃんが変質して言ってる場面がある。あれで体自体が違うかも……とか想わないじゃん。

『そんなことよりも、限界値が違うのですから、その可能性があると言うことです。状況よりも、データを元にした意見です。そしてどこかにこの少女の体が今もあるというのなら――』
「それともう一度入れ替えることが出来れば、ピローネちゃんは元に戻れるって事だね」
『――おそらくは』

 やっぱりこの世界の魔法をもっと知る必要がなる。魔法を詳しく知ることができれば、それを解析して人を砂獣化させる方法を詳しくしれる。そして逆の術式でも作れれば、ピローネちゃんを元に戻す反転術式を作れるかもしれない。なかなかに面白い試みじゃん。そんなことを思ってると、なんかこの世界に散らばらせてるセンサーの一つに反応があった。映像を出すと、なんか白い豪華な馬車が見える。
 どう見ても教会だ。それがアズバインバカラへと向かってきてる。またまた教会が厄介ごとを持ってきたような気がするぞ。

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