転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 472

 ふむ……宵ではかなり苦戦した新型ムカデ型の砂獣バージョン2とか枯れ木のような砂獣とか蛾のような砂獣とか色々となんか現実というか瞑の方に出てきてたけど、なにせ私は鬼共にも対抗できる程にG-01を強化した。なので砂獣なんかに遅れは取らない。
 実際殆どの奴等が何が起きたか分かってないと思う。まあでもそれでもいいのだ。なんか王様の力……というか命令でG-01が動いて、それによって危機を救われた――という実績が欲しかっただけだからね。なにせこの世界、王様の影が薄い。国民は教会の方にはよく祈ってるが、王様のことなんて?だよ。多分だけど、それも教会の企みなんだろうけどね。まあ実際それなら、なんで王族なんてのを残してるのか? 潰す機会なんていくらでもあったように思う。でもやっぱりナンバー2のほうが裏でやりやすいってのがあるのかもしれない。
 権力としては裏にして、よりどころになることで、批判とかを王族の方に集めて信頼だけをあつめていったとか……そんなパターンだろう。本当にゲスイ。王族なんてほぼ権力なんて無くて、教会の傀儡でしかないのにね。それなのにその椅子に座らせ続けられて、何も出来ない。やらせてもらえないってどんな気持ちだったんだろうか?
 私はモニター越しに王様をみてる。なかなかのイケオジだと思う。この世界には珍しくて、色白で金色の髪に瞳してる。はっきり言って人種違う? とか思うレベルだ。だってこの世界の人達は大体肌は浅黒い。何せそこら中砂漠だからね。緑なんて殆どない。宵はあるけど、太陽が沈むわけじゃないし……一日中暑い。だからこそ肌を護るために肌が黒くなるのは必然だと思う。

(王様はきっと殆ど城から出ること何てないんだろうね)

 それか中央はなんかこことか他の街とは根本的に違うようだし、それが原因で白い肌の人も居るのかもしれない。そこらへんは後で勇者にでも聞いてみよう。そもそもが城に軟禁状態だったのかもしれない。それなら肌が黒くなることもないのもわかる。

「貴方が神か?」

 なんかぼそっとそんなことを王様はいった。何をいきなり言ってるの? ――とか思ったけど、かなりなんか王様の目が私を……というかG-01をみてキラキラしてるような。それこそG-01に希望を見てるような表情だ。私はこの世界では喋れない設定だからね。何か応えるようなことはしない。けどこのまま何もしないのもね……とか思って私は腕を向けて王様が乗ってる馬……みたいな生き物ごと下からすくい上げるように持ち上げた。
 私の行動に王様を護るためについてきてたお偉いさん達がびっくりしてたけど、ラパンさんが止めてくれた。そして私は王様をそのまま持ち上げて頭上まで掲げてやった。めっちゃビクビクしてるみたいだけど、私の頭上……その腕のてっぺんから見る景色はどうだろうか?
 王様の城は中央の一番高いところにあったようだから、これでは全然及びもしないのかもしれない。けど……それなら高所恐怖症とかないかなって思ったけど……恐怖の方が強く出てる? でも私に出来るのはここまでだ。きっとそこからなら、地上の周囲の人達だけじゃなく、アズバインバカラで集まってる民衆達にだって見えるはず……だからこそ王様らしい事を期待したいんだけど……
 そう思ってると、震えてた王様が決意したようにその剣を天に掲げた。それに合わせてわたしは周囲の機械に光を照射して貰った。するとまるで王様の剣が光り輝いてるようじゃないか。まさに勝利を祝福するようなその輝く剣に再びアズバインバカラの人鱈は湧いた。
 これで皆、王様のことをきっと英雄とかそんな感じで好意的に受け入れてくれるだろう。

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