転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 462

 まずは景気よく砂獣を聖剣で葬り去る。でもそれでも砂獣達は止まらない。軽く数十体は消し飛ばしたはずだ。けどそれでもジゼロンワン殿は軽く一撃で数百体くらいは消してたから力の差は歴然か。でも景気づけてとしては悪くなかった。俺の一撃で勢いよく後続の軍や賞金稼ぎ達が砂獣にぶつかっていく。
 でも何せ数が多い。一応俺たちがやって来た方向から砂獣は来てるが……それもいつまで続くか。何せ数がおかしい。倒してるが、すぐに砂獣達は追加されてるのか減る様子はない。それはジゼロンワン殿が戦ってるときからそうだった。それなら……あの方がいないとなるとこれから増えていくことが考えられる。となると――だ。一方向からでは収まりきらなくなるだろう。でもアズバインバカラには複数の方向から襲いかかる砂獣に対応するだけの兵力があるかと言われれば――

(ないな)

 それが結論だ。こっちからしたらそれは兵力の分散になる。けど砂獣共にとってはそれをしたとしても別に分散とかにならないんだよな。ズルい。こっちが限りある兵力で対応しないといけないのに、敵側はいわば無限の兵力を投入できるような物だ。
 きっとこれまでも、こうやってこの世界の都市は落ちていったんだと思う。こっちがどうしようもないほどに大量の圧倒的物量……それが本当の砂獣の怖さ。三十分とか思ったが、いけるか? なかなか厳しいかもしれない。やっぱりピローネにも戦わせた方が良かったかもしれない。

(いや、あの状態では無理か……)

 そもそもがピローネ自身が自分の体の変化について行けてない。 ペニーニャイアンの言葉的にはもうとっくにピローネの体は崩壊してておかしくない。それを俺の回復魔法でなんとかつなぎ止めた感じた。ここで変に無理をさせるとピローネは死んでしまうかもしれない。
 ペニーニャイアンと違ってピローネはただ利用されたに過ぎない子供だ。考え方がゆがんでるのも、これまでの教会の奴等の教育の性だろう。修正は効く……でも……それでも今のままのピローネでは世界に……いや人々に受け入れられるのか……それはとても怪しい。というか危うい。

(けど今はピローネのことよりも目の前のことだな)

 なんとか自分自身が頑張らないといけないだろう。勢いをつけるために前に出たわけだけど、俺は一気に後方に下がった。そして全体を俯瞰するように戦場を観る。

「聖剣よ、応えてくれ」

 その言葉と共に聖剣が変化した。剣の形から白い銃へと姿を変えた。それを構えて、撃つ!! 黄金の光りが戦場を貫き複数体の砂獣を屠った。そして唖然とする軍の人達。彼らは今まさにその牙を受けようとしてた。けど俺の一撃でそれを免れた。
 今までは力の差もあって前に出ることが多かった。いや、それしか出来なかったんだ。なにせ聖剣は剣だったからってのもある。けど、今の俺には比較的楽に乱射できる遠隔攻撃手段がある。これを使えばただ突撃するだけじゃない、皆をもっと護り生かす戦い方が出来る筈だ。
 
「でもこれだけでも足りないな」

 何せ数は向こうが圧倒的。もっと手数が必要だ。俺の中に居るもう一つの人格に手伝って貰おう。

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