転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 451

 宵が終わる。世界が元通りになっていく。でもそこでふと私は思った。

「鬼が居なくても、世界は元に戻るんだね」
『鬼の役割はそこまで重要でもなかったのかもしれません。いえ、そもそもが世界を動かすためには色々なイレギュラーを想定してるはずです。鬼が動かないときの第二手段を実行してるんでしょう』
「そういうものか……」
『そう言うものです』

 私は宵が終わる中でAIと共にそんな会話をしてた。私の周囲には食い尽くされた鬼達の骸がある。体の一部がこの空間に漂ってる。頭の欠片……目玉……指……脚……とかね。まあ別に私が食い荒らしたわけじゃないよ。
 ただそう見えるかもしれない光景だから、そういう風に表現をしたに過ぎない。食ったわけじゃなく、ぶっ倒したのである。でもまあ……

(食ったと表現しても良いのかもしれないね)

 なにせ私は沢山の鬼のエネルギーを取込んだのだ。それはつまり、肉体は食べてないが、そいつ自身を食ったと言っても差し支えないような気がする。

 おかげでフルモデルチェンジを三回くらいは出来た気がするぞ。じっさい、今の私……というかG-01はとても輝いてる。白を中心にしてた色使いだったと思うけど、それが輝きを増して白銀になって今や黄金に……なかなか趣味悪いと思うから、常にこの色にするわけじゃない。それにどうやらこれは色を変えてるわけじゃなく装甲の特性とか材質が反映されてるような……いや勿論純粋に色を変えることも出来る。
 でも今回はそんな趣味を突き詰めるなんてやってる場合ではなかったからね。でも黄金状態はどうしても黄金状態になるかもだけど……

「とりあえず通常状態に戻して」
『手順はしっかりと把握しておくことをおすすめします。それに後で今回の変化分のレポートを送っておきます』
「いやいや、めっちゃ膨大でしょ。そんなの送られたら私の頭がパンクするよ!」
『大丈夫ですよ。あの後二回、今回で計三回の脳の機能の拡張を行いました。最初よりも脳機能は四倍まで拡張されています』
「そうなんだ……」

 なんか私自身が改造人間になってる気がしなくもない……いや、でもそもそもが私は自分のことを人間……と思ってるがそれすら怪しいからね。私は『プチュオクミ』なる存在らしいからね。
 なら脳が拡張されても……まあそういうものか……と思える。不便になるならまだしも、便利になってるからね。私が何者なのか……それはきっとそのうち分かるだろう。多分ね。

 鬼は居ないが宵が終わっていく。こんな風な光景を見ると、世界とは大抵のことが起こってもつつがなく動いていくんだなって思える。黒かった空間に、空と地上が構築される。そして太陽が昇ることによって、宵は終わりを告げて、新たな一日が始まった。

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