転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 447

 鬼の手と棒っきれみたいな砂獣から脱出した私はそのまま鬼の方へと向かってた。鬼の角はこの時点でかなり小さくなってた。それだけ鬼の角に宿ってた膨大なエネルギーを使ったって事だろう。
 そのせいかG-01の体がかなり分厚く……というか装甲がかなり頼れそうな感じになってる。なにせ今までは結構フレームがそのまま見えてるって場所も多かった。大切な関節部分とかは勿論ちゃんと装甲で覆ってたけど、結構薄い装甲の所も多かったんだよね。でも今回で完全にリニューアルした。
 白を中心にした色使いなのは変わらないが、いままで結構ひょろひょろとした印象もあったかもしれないG-01だけど、もうそんなことはきっとないだろう。何せ完全にマッチョというか、がっしりとした安心感がある。今までがプロトタイプなら、ようやく通常兵装型になったといってもいい。一応一番基本的形態だから、バランス型といった方が良いのかもしれない。
 白い装甲には差し色として青が使われてて、なかなかに清潔感がある。まあ何故か知らないんけど、砂漠に居たってG-01はそんなに汚れてなんかなかったけど。自動修復機能があるからなんだけど。

『ブースターも変換しました。運用効率と出力が上昇してます。コントロールもしやすくなったはずです』
「助かる!」

 どうやらさっきまでは初速の勢いで進んでたみたいだ。でも完全に変換が完了したのなら、これからは更に加速できる! 私はそう思ってブースターへと意識を促す。すると頭にブースタの詳細が浮かんできた。
 今までは腰に集中してついてたわけだけど、掌と膝と肘・足裏にも一対ずつ追加されてるね。確かに腰だけだと結構腰から引っ張られる感じしてたからね。それに別の所にも噴射口がついたのなら、もっと複雑な動きが出来るかもしれない。
 とりあえず私は上手く扱えるかどうかを確かめるために、鬼の腕に沿って回るようにとんでみた。

「なるほど、確かにかなり制御しやすい」

 今までブースターの飛行ははっきり言ってただまっすぐに勢いをつけて進んでるって感じだった。でも、噴射口が追加されたからか、かなり飛んでる――という感じが強くなった気がする。姿勢の制御もしやすいし、強弱だってそうだ。それにいろんな所についた噴射口がメッチャ使える。

『残りの角は形状も利用して小手に組み込みましょう』

 そういうAIの言葉と共に、何やら小手が変なモザイクみたいに見える。別に見せられないよ――って訳じゃなくて、変化してるからこう見えてるみたいだ。そしてついに私の腕の中にあった鬼の角は完全になくなった。これで両手が自由に使える。私はなんとなく両の拳をぶつけあう。まだ完全に変換は完了してない。でも、それでも甲高い金属音が響いた。私は鬼の腕に沿って回転しながら進みつつ、鬼の顔を見据える。
 私は腕を広げた。新たな小手はまだ完成はしてない。けど……今まで何の変哲もなかったただの板が拳についてる感じになってるだけだったのに、なんかメリケンサック的な物になってるように見える。
 これだけでも凶悪になったように感じるよ。

「アンタの力よ! 食らいなさい!!」

 私はそう言ってがら空きの鬼の顔面にメリケンサックをぶち込んだ。

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