転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 440

 炎の中、G-01に飛びつく何か。いや何かなんて言い方をる必要なんてないか。それは棒っきれみたいな砂獣バージョン2だった。姿を隠して私に……いや、G-01へと取り付いた。警戒はしてたんだけどね。
 知らない間に多分だけど、蛾のような砂獣の力に翻弄されてたみたい。あいつもかなり巧妙にその力を使うようになってたし、内部のセンサーも随時更新してるから所々反応しなくなる時があるからね。
 それを狙った……わけじゃないだろうけど、タイミングが悪かったみたい。

「くっこの……離れなさないよ! そんな気持ち悪いスタイルしてるくせに抱きついてくるんじゃない!」

 棒っきれみたいな砂獣は決して抱き心地良くなさそうだしね。デブであってくれなんて言わないけどさ、女の子に抱きつくならせめて筋肉くらい付けなさいよ−−と言いたい。本当に棒っきれみたいな砂獣は想像するよりも棒っきれだからね。手足なんて骨と皮だけしかなさそうだし、胴体だって多分前と後ろに臓器を集めて中心部分は凹んでるからかなり細い。てかそもそも砂獣に臓器ってあるんだろうか? 何回か切ったり吹っ飛ばしたりしてるが……うん考えないようにしよう。緑色の血は出てるけど、ボドボトと中から何かが落ちてくるってことないような? その前に人を食べてたら、その食べられた人たちが出るんだろうが、今相手にしてる三体の砂獣はここで生み出されて私の相手しかしてないからね。

 内臓が綺麗なんだろう。まあけど、そんなことを考えてる場合ではない。私に取り憑いて来たってことは私の動きを阻害して大きな何かを狙ってるってことだし……この細い棒っきれみたいな砂獣はその手足の長さを生かして、G-01を腕が広げられないようにしっかりとホールドしてる。
 いや角を持ってるし、もとから腕を広げるなんてことは出来ないんだけど……その細い足がこっちの脚にまで絡んできてるから動けない。そうこうしてる内にさらに何か砲弾が打ち込まれた。さらに炎が追加される。しかも体にべちゃべちゃと粘着質な何かがついて、それに引火するし……しかもかなり高温なのか炎が白い。

「ジリジリ痛い……」

 どうやら強化された装甲さえも溶かすほどにこの白い炎は高温らしい。周囲を包んでる炎とは明らかに色が違う。私はブースターを使って脱出を試みる。でも態勢が態勢だ。真上にしか飛べないぞ。
 でも後ろからは既に鬼が迫ってる。奴に捕まるわけには行かない。なにせバージョン2になったといっても、砂獣と鬼とでは力の根本が違う。鬼に捕まったら流石のG-01もべっこべこにされるだろう。
 だから私は飛ぶ。でもやっぱりだけど、真上には新型サソリ型砂獣バージョン2が待ち構えてた。

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