転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 428

 私……というかG-01の攻撃が届く前に背後の新型サソリ型砂獣は目の前の蛾のような砂獣の眉間を撃ち抜いた。私にとどめを刺されるくらいなら自分からってやつか? でもそれはおかしい。だって……

「わざわざ鬼達が再生してくれるのに、仲間を撃つ?」
『そもそも再生させないように消し飛ばそうとしてたじゃないですか』
「それはそうだけど……」

 新型サソリ型砂獣は大きすぎてこの小手では一度で全身を消し飛ばすことが出来ない。だからこそ、いくら殺しても、鬼達が再び何かをこねこねして、それを使って修復されると簡単に復活する。
 でもそれならって思うじゃん。それなら再生出来ないくらいに一撃で吹き飛ばせばどうなるのか……それを今し方実現しようと思ったんだけど……いや――

「先に殺されたけど、それでも体をなくしちゃえばいいじゃん!!」

 ――というわけでやっぱり私は拳をたたき込む。けどなんか感触がおかしい。ドロッとした感じで、G-01の拳が蛾のような砂獣の体を通り抜ける。これはこれである意味死んだ……と判断しても良いんでは? と思ったけど、そうは問屋が卸さないらしい。

『同等のエネルギーが二つ現れてますね』
「いやいやいやいや」

 私はそれはおかしいと主張するよ。だって一体が二つに分かれるとしたら、それは一つのエネルギーを二つにわけるわけで、普通は二等分になるじゃん。分かれた一つ一つは元の一つの体の時の二分の一の力がそれぞれに割り振られるはずだ。
 けど、今見てる限りではそんなことにはなってない。AIが言うには分かれたはずの二つに元の一つ分の力が宿ってる。それってつまりはエネルギー増えてるじゃん! 絶対におかしいでしょ。

「そんなことある!?」

 私は突っ込む。くっ、こうなったら私は二つに分かれた一方を殴った。今度はちゃんとした手応えと共に爆算した。けど……なんか私が一体に拳をたたき込んでる間に新型サソリ型砂獣が再びその背中の砲台から発射しててそれが分かれた一体の蛾のような砂獣の眉間を貫いてた。
 そしてやっぱりドロッと成って二つに分かれる。もちろん、そのエネルギーは同等だ。

「ちょっとおおおおおおおお!!」

 何してくれてんのよ! これじゃあ無限増殖じゃん!! しかも私がそんな風に叫んでる間に私の前に回ってくる棒っきれみたいな砂獣。くっ、態勢を立て直したか……てかさっきよりも状況ひどくなってるじゃん! 私は頭をわしゃわうしゃした。

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