転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 385

「はあ……重荷がとれたようだ!」

 そう言って腕から引きちぎった聖銃を黒くなった勇者がその握力で砕いた。なんとまあ……そんなことをしても勇者の中に戻るだけだと思うけど……

 ピコン

「何?」

 なんだろう、何か通知が届いたよ。見てみると、モニターに何か文字が出てる。その文字はこう書いてある。

『聖剣が使用を求めています』

 まじか……どうやら聖剣は勇者の中ではなく、こっちに来たらしい。そしてどうやら自分を使え――とこっちに訴えかけてきてる。ピコンピコンとめっちゃ五月蠅いし。なんかG-01が聖剣に粘着させられてるみたいになってるぞ。

 アレかな……実は聖剣は擬人化したら女の子で、めっちゃ勇者のことを気に入ってたのだ。けどその勇者が危ないから、自分がなんとしてでも助けたい。でも聖剣ちゃんは自分で自分を振るうなんて事は出来ないから、勇者よりも上の立場である私に自分を使って勇者を助けなさいよ! 別にあいつのためじゃないんだからね――っていってるんだね。

 まあ別に最後のツンデレ部分は全く見せてないし、私の想像の暴走の結果だけど……どっちかというとこの聖剣ちゃんはむしろ――

『自分を使って勇者を助けなさいよ! じゃないとアンタを許さないから!』

 うん……こっちの方がしっくりくる。ツンデレよりも聖剣はデレ成分100パーセントだと思うんだよね。あながち間違ってないだろう。

『で、どうするんですか?』

 AIがそう言ってくる。まあ実際、どうするかって言われたら、使ってみようかなって気はしてる。だって結構困ってたしね。こっちが優勢だけどさ……結局の所、今は勇者の体をボロボロにして追い出すしかないかなって手しかないんだよ。
 でももしかしたら聖剣ならそれ以外の方法が採れるかもしれない。なにせ聖剣だよ? でも実は、勇者や魔王が私の一部になったときに、聖剣を使おうとしたんだよね。勇者と魔王自体を武器にすることも出来るけど、それはとても強力というか、やばい武器になるんだよね。それこそあの空獣を相手にする時用な感じ。まあそれでもまだまだ空獣には勝てそうにないが。

 でも勇者と魔王を掛け合わせた武器はそれだけ強力で、こんなところでぶっ放すことは出来ない。てか魔王居ないし。だからもっと一つ下くらいの、それぞれの武器と力をG-01で体現するってのは考えた。でもそのときは聖剣ちゃんは応えくれなかったんだよね。

 自分の大好きな勇者がやばいから「自分を使え」――ってのはなかなかに都合がいい気もするけど……G-01には丁度良い武器がないからね。其れはちょっと困ってたのだ。聖剣が使い手によってどんな形にでも出来るのなら、多分だけどG-01のサイズにも合わせられると思う。
 いいじゃん――だよ。

 私は通知を押して、許可を出してやる。すると画面に聖剣の断面図? 的なのが出てきた。それは今は赤いが、なんか下からどんどんと緑色になっていく。多分だけど、G-01と聖剣をリンクしてるんじゃないだろうか?
 そうしてそれが完全にオールグリーンへとなったとき、私を腕を前に出す。そしてその手の中に光が集まっていき、G-01に合わせた大きな聖剣が姿を現した。そしてなんか私が居るこの場に女子の声が聞こえてきた。

『あーーもう! あいつマジでぜっころ! どっちが先輩か教えてやるんだから! それとそれ以上彼にくっつくな! そこは私のポジションだ!!』

 うん……これが聖剣の心なんだとすぐにわかった。

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