転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 381

(ノア、何を言ってるんだ? 冗談はよせよ……)

 自分は額から頬に冷たい汗が流れるような感覚を感じながら、そんなことを伝える。でも……ノアの奴は高笑いを止める気配はない。

「冗談じゃないっすよ。これでもう、俺を押さえつけることは出来ない」

 そう言ってノアの奴は徐ろに聖銃を上に向けた。何をやるのかは言わなくてもわかる。こいつ、聖銃を使って一気に地上に抜ける穴を開ける気だ。
 まだこの町には残してる人たちがいる。そしてその人は自分のことを信じて待ってくれてるんだ。それなのに、こいつは自分だけここから抜け出す気だ。

(おい、やめろ!!)
「知ったことか」

 めっちゃ口調が尊大になってるノア。自分の言葉に耳を傾ける気は無いみたいだ。でも……

「む……」

 訝しむノア。納得出来てないのか、しばらく上に聖銃を……というか腕を向けてる。今は聖銃と腕が一体化してるからな。傍目に見ると、ただ何か腕を上げてる人……になるんだろうが、自分は焦ってる。

「魂が違うことを気づいてるか。こざかしい」

 どうやら聖銃は体は自分でも、魂が違うことを感づいているらしい。だからどうやら攻撃を出さないみたいだ。流石聖銃……というか聖剣。信頼してる相棒は違う。

「くっく……だが、同化してるのが仇になったな」

 そういうノアはあいてる左手で同化してる聖銃を握る。すると血管が浮くようにみえて、その血管が聖銃にも現れてる。

「完全に支配してやるぞ!」
(やめろ!!)

 そんな自分の叫びむなしく、聖銃の先端に黒い光が集まっていく。そしてどでかい光線が放たれた。太陽の光が降り注いでくる。

「おお……忌まわしい光の下でも、なんともない。これは……これは素晴らしい」

そんなことを呟くノア。こいつ太陽の光が苦手だったのか? でも自分の体ならそんなの関係ないらしい。まあどっちかというと自分は光と相性良いからな。このままじゃあ、ノアの奴が外の世界に解き放たれてしまう。
 それは……駄目だ。

(やめろ! いかせない!)

 自分は家の中で立ち上がり、力を込めた。体を明け渡したのは自分だが、でもこの体はあくまで僕の物の筈だ。なら、強制的に奪い返すことだって出来るはず。そう信じて、自分は力を……力を……

(くっ)

 床に膝がつく。そうだった……さっきの超巨大な隕石を破壊するために、ほとんどの力を使ってた。しかもさっき天井に穴を開けたのも感じたら自分の力を勝手に使われてる。
 これは……不味い。

「何もできないだろう? ははははは! せめて我にこの体がなじむまでおとなしくしてろ! そうなれば、完全にこれは我の物だ!!」
『なにやってるんですか勇者……ん? 勇者なの貴方?』

 ズゥゥゥゥンという音共に穴から降りてきたのはなんと……ジゼロワン殿だった。そうか……既に来てくださってたのか……安心感が自分の中で広がる。

「転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く