運命という世界線を壊せ　377

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお！！」

　ゼロから一気に出力をMAXに……いやそれ以上に解放をする。そうしないと、ゼロのままだともちろんだが、中途半端な力の解放ではこの蛇まみれの超巨大な隕石をどうにかすることなんて出来ない。

　なにせ勢いもでかさも桁違いだ。本当に星一つと対峙してると同等だろう。そんな星自体が移動して迫ってきてるんだから、生半可な勢いなんて意味が無い。というかたった一人で星一つどうにかしよう……なんてのがそもそもがあり得ないと言われれば反論の余地なんてないだろう。

　けど……自分以外居ないんだからやるしかないだろう。それかこの空間の弱点を早々に狙って脱出を図るってのもここまで来たら早めにやって置くんだったと思う事も無い。

　三つの隕石が出来たくらいから逃げを考えてた方が良かったか……でもそれも今や後の祭りだ。やらないと、やられるだけ。それにここは敵の空間だ。死んでも誰にも察知されないかもしれない。一応ジゼロワン殿には位置を言ってるはずだから、他の王様達はなんとかなるかもしれないが、この場所に居る自分はやられたらここにうち捨てられるだけかもしれない。

　それは少し寂しいだろう。ジゼロワン殿にも悪いし……それに元の世界に戻るという目的もある。だからこそ、こんなところで、たかだか星の一つの衝突くらいで死ぬわけには行かない！

　「ぐっ……」

　一気に放出しようとする力が無数のヘビ達のせいで勝手に防御に回る。このままでは大出力を一気に放出してどうにかしようって自分の狙いは達成出来ない。

　予想以上に蛇の石化が強力だ。体内に押さえつけて、向こうが追いつかない速さで出力すればいける――と単純に思ってたけど……自分の予想以上に、こっちの出力の速さに難があって、そして向こうの出力はこっちの予想を超えていた。
　このままでは駄目だ。押し切られる。

　今までは聖剣の聖なる力と大出力の力でどうにかこうにかやってきたが……圧倒的に自分よりもデカい、しかもそのスケールが星となると、これまでの比じゃない。それにこの隕石はただの隕石ではなくて、都市核という特殊な鉱石で出来てる。

　外から押そうにも、中から崩そうにも、手がないぞ。

「ぐうあぁぁ！！」

　前に出してた力を後ろへと向けて、推進力にした。光は刀身をまとうだけになり、背中から光の羽が生えている。その羽はとても強大だが……でもこのままじゃ、じり貧だ。けどだからって、今の聖剣じゃ、この隕石を切り刻むだけの力は無い。今は潰されないように対抗することしか出来てない。
（いったいどうしたら……）

　息巻いて出てきたのに……戻れなかったなんて皆に合わせる顔がないな。久々に感じる本当のピンチ。自分は今まさに追い込まれてる。けど……不思議と興奮が収まらない。