転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 372

 どうにかしてこの空間から脱出しないといけない。それは確実だ。なにせここで戦ってても不利でしかない。敵の手のひらの上で踊ってるような物だからだ。

 今の自分ならそれでもどうにか出来そうな気はする。それだけの力がある――と思うが、おごりは禁物だろう。初めはこの中で戦ってそして勝ってチャンチャンと終わって解決……とか考えてたんだが、どうやら敵は解決させる気は無い。自分達をこの砂の中からそもそも出す気は無いみたいだからな。

 迫ってくる巨大な星を捌きつつ、その余波で自分が見つけた空間のもろい部分を刺激する。

(旦那! そんなちまちまとじゃなく、一気にやろうっす! ――旦那!)

 ノアの奴が五月蠅い。頭の中で騒がれるとどうしようもないからな。けど今は無視だ。いや、ただ「気になることがある」とだけ思考を介して伝える。

 実際この空間のもろい部分を聖剣で斬れば……いや切れると思う。感覚でそこら辺はわかる。でも、それでこの空間がただ壊れるだけなのか……というと疑問でもある。それに……だ。

(何か大きな力を感じる気がする)

 というか、視線のような感覚。みられてると……思う。最初はあの蛇の化け物みたいな奴が実はまだ生きてる……とか思ってたが、もっと大きい……いや強力な何かのような感じがする。

 そしてきっとそいつは慎重だ。初めにこの場で戦う奴を用意して、そいつが倒されると、今度はこの空間全部を使って自分を計ろうとしてる。そう思える。

 そう考えれば、無作為に降ってきてるように思える都市核の星達さえも作為的な意思が見えてくる。一斉に来てるようである程度ばらけさせてるのはこっちの力を測ってるからかもしれない。でも……だ。最初の蛇のような相手、そしてこの都市核の隕石攻撃。そろそろもっと決定的な奴を仕掛けてきそうだと思ってる。

(まあ本当にこの空間を支配してる奴がいたら……だけど)

 もしかしたらそれはこの世界の神……的な奴だったりするかもしれない。宵には自分達でさえも勝てないような化け物が闊歩してる世界だ。もしかしたら……それが出てくるかもしれない。

(でも、アレには意思は感じなかったか)

 ここまで狡猾的にそして慎重に事を運んでる奴は知能は高いだろう。だからこそ、こっちも慎重になる必要がある。

「……来たか」

 動いた。今まで斬ってきてた都市核……ようは襲いかかってくる隕石がいくつか集まりだしてる。その体積を更に強大にして襲いかかってくる気だろう。
 しかも……だ。それを一つにせずに三つくらいにして三段構えにしてるのがエグいというか何というか……どう考えても何かの意思が介在してる。 
 多分だけど、これだけあればやれるっていう戦力がこれなんだろう。向こうの方が多分しびれを切らした。

(だ……旦那……これマジでまずいっすよ!)

 ノアはそう言うが、自分はこれを待ってた。いや、流石に三つは想定外だが……でも……やってみせるさ!

 自分は狙ってた位置に陣取って聖剣を正面に構えた。

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