転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 364

 どうやら自分は真っ正面から敵の絶対に有利な場所でやつ自身を踏みにじっていたようだ。どうやら敵は何回だって何もないところから武器を取り出せるし、そしてすぐに傷だって再生する。まあやたらと都市核は守ってるから、そこをピンポイントに狙われたら駄目なんだろうとはわかる。
 でもわかるからこそ、こっちもそこを狙うし、向こうも狙われてるのを自覚出来る。だからこそまだ一回も届いてない。地味に髪の毛のヘビ達の影響もありそうだ。

 石化はしないがそれでも何も影響がないって訳にはいってないから多少なりとも動きにその影響が出てる。実際自分のイメージでは既に決着はついてる。今の力の差のままなら……だけど。でもそれでも決着を付けれてないのは、自分自身の未熟さ故だ。

『貴様は何者だ』

 絶対的に自分有利な場所で追い詰められて、こいつは僕が何者か気になってきたようだ。実際はあり得ないことなんだろう。いくら攻撃をしても、向こうの攻撃は防がれ弾かれ、そして傷を負わされるのはいつだって敵であるあいつ自身。

 ここでそんなことがあるわけがないと、きっとずっと思ってたんじゃないだろうか? でも「そんなわけがない!」と否定してた。けどその否定も限界が来たのかもしれない。

 なにせ客観的事実として、僕自身はまだ一度たりとも攻撃をもらって無くて――いや厳密には防御したやつあるけど、クリーンヒットした攻撃はないから――で、僕の攻撃はズタズタと入ってるわけだ。
 認めないわけにはいかないだろう。だからこそ今、その言葉が出てきた。

「何者といわれても……自分はただの別の世界の勇者だ」
『そういうことか』

 勇者って言葉伝わった? こっちの人たちは勇者っていっても、名前としか思ってもらえないんだが……やっぱりこいつきちんとした知性がある? 

『くくくくあはははははははははははははははははは』

 何がおかしいのか……現実を認められなくておかしくなったのか……いやそうじゃないみたいだ。

『なるほどなるほど……資格がないわけだ。ふむふむなるほど……良きことを聞いた』

 今の最後の部分、誰に向かっていった? てかどこ対象だった? 自分が言った言葉を対象に『良きことを聞いた』といったのか? でも……なにかその直前にどこかに耳を傾けてた様にも見えた。そう思ってると、奴は更にこういった。

『我のままでは侵略者に対抗するには役不足のようだ』
「侵略者って……」

 侵略してる気は無いが……そんな反論は意味ないんだろうな。そう思ってると、突如頭のヘビ達が奴の体の至る所にかみつきだした。一体何を? そして奴自身、その顔の半分を隠してる仮面へと手を掛ける。ブチブチと嫌な音が鳴る。どうやらあれは掛けてるわけじゃなく、自身の肉体の一部らしい。皮から剥がれてるような嫌な音……でもそれでも奴は止まらない。

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