転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 348

「それでさっさと話せ」

 不遜な態度の魔王は、今さっき目が覚めたギャラパラにも容赦はない。その体がどれだけ痛くても話させる気満々だ。いや、やめとけ……なんて言わないよ。
 だってこいつはクソの部類に入る協会の奴だし。何やら一瞬、鋭い目をしたような気がするが、ギャラパラは「ええ、お話しします」と下手に出る。
 
 ついさっきまで、自分は特別なんだ――とか言う態度をしてた奴とは思えない態度だ。この今の戦力では全くもって魔王に敵うことがないと、ようやくその頭で理解できたみたいだ。

「かつての神は確かにその者が言ったようにいなくなりました」
「死んだんじゃないのか?」
「それは語弊です。神は死にません」
(そうなの?)
『捉え方次第かもしれないです』

 ギャラパラの言葉に魔王は無言だった。変な反応はしないつもりのよう。私はすぐさまAIに聞いた。けど曖昧な答えだね。

「かつての神はこの世界を維持するだけで精一杯で、我らの望みを叶えるのに力が足りなかったのです」
「ふむ」
「我らは神を信じていましたが、その間にも人は増える。すでに限界のところにさらに増えては、さらに限界になるのです。崩壊が近づく中、別の神を迎えるべきだという勢力が出てきました」
(神ってそんな簡単に呼べるの?)
『どうでしょうね』

 むむむ、AIはもう答える気ないようだね。まあけど切羽詰まってたというのなら、そうなるのもわかる。神様も何もやってないわけではなかったのかもしれないが、人と神では色々と齟齬がありそうだしね。うまくコミュニケーションが出来なかったのかもしれない。
 
 そもそもが増えすぎた人のために、世界を拡張しようとして、それがすぐに出来るものなのか? 世界を大きくするって、言葉で言うとあっさりといえるけど、実践するとなると超大変だってわかる。だって人々が生きるこの世界をどうにかしようってことだよね? めっちゃ大変じゃん。

 かつての神様は頑張ってたんじゃないの? でもそれを人々は待てなかった。いや、結局は広がるスピードよりも、人が増えるスピードの方が早かったのかもしれない。
 そうなると、不満は解消されずに、実は今の神は無能なのでは? ――という声が出てきたと。

「もしかして貴様らがその提案をしたのか?」

 そう言ってヘメ・レペスと呼ばれてた彼を魔王は見る。確かにそれなら、こんな風になってしまった世界に責任感じちゃうのもわかる気はするね。まあ彼は何も言わないが。
 そういうのまでギャラパラに任せてるみたいだ。

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