転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 332

『ジゼロワン、ちょっといいか?』
「何……んっん、なんですか魔王?」

 魔王からの連絡が来た。私は軽率に返事しようとしたけど、なんとか言い直した。だって私は二人の上位的な存在だ。だから結構威厳を持って接しないといけない。特に勇者はそれを願ってる感じする。魔王はそれほどでもないけど、なんかどっちかで対応変えるのも面倒だからね。

『おかしな奴らがいてな。何か知ってるかと思っただけだ。問題ないなら潰しておくぞ』
「可笑しな奴らですか?」

 ふむ……どういうことなのかよくわからない。魔王は感覚で物言うからね。きっとそのおかしいとかいう奴らだって、多分だけど魔王の勘だと思う。魔王はそういうやつだ。

「そいつらは何かやったんですか?」
『今はまだ何もやってない。だが新たに教会を建設したいとか言ってるぞ』
「教会……ね」

 それってどう考えても協会の連中じゃん。でも確かラパンさんがここからは協会の神父とか出してなかったはずだけど。てか結構ここの神父さんは話がわかる人で、協会の本部の方とは折り合い悪いらしい。
 だからこそかなり独自にやってるみたい。その代わりにアズバインバカラの協会自体は本部からの支援とかないみたいだけど。
 でもその独立性のおかげでラパンさんとここの協会はまともな関係でいられてるんだよね。だからそこの神父がジャルバジャルへと勝手に協会の誰かを送るなんてことはないはず。
 ならそいつらは別のところから派遣された連中だろうか? でもアズバインバカラも通さずにやるなんてある意味大胆。
 どう考えても反対されるだろうに……協会の権威でどうにかできるとでも思ってるのだろうか? 

『あり得ますね。協会はこの世界では相当強い力を持ってますし。その力に浸ってる人たちは自分の価値をも勘違いしてるのでしょう。
 復興しようとしてるジャルバジャルに教会を立てるのは当然と思ってるでしょう』
「めっちゃあり得そうね」

 協会から離れようとしてる勢力があるって理解が及ばないバカな奴らがいるんだろう。でもわざわざバカを送り込んできたってのは何かあるのかもしれない。

「殺すにしても、とりあえず目的くらいは吐かせてからにしたほうがいいですよ」

 私はそうアドバイスをしてあげた。いや、魔王ならそこら辺わかってるだろうけどね。喧嘩っ早いやつだけど、実は色々と考えてたりするしね。

『ふん、俺がいれば小細工なんていらないがな』

 そんな口を叩きながらもきっとちゃんと目的を吐かせるだろう。魔王はそういうやつだ。でもちょっと気になる。いきなり湧いて出たようにジャルバジャルに協会の連中が来たって……この世界移動手段は歩くか動物の上に乗ってくくらいしかないからね。
 そんなぽんぽんと移動なんてできないはずだけど……私はジャルバジャル周囲の機械と視界を繋げる。

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