転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 327

「さて、ポニ子に重要な任務を与えましょう」
「ポニ!」

 私の目の前でポニ子が敬礼をしてる。この謎の生物? 生物なのかそれから謎だけど、ポニ子はなぜか私(本体)の前に来れるのだ。なのでコクピットで私達は対面してるわけだけど、この何とも言えない癒し系の顔が緊張感をほぐす。

 てかわかってるのだろうか? のんきにポニーと言ってるぞ。まあいいか。ポニ子は皆を癒してるから、きっと粗相をしても許される。とりあえずはポニ子に王様達がここに来ることを教えてあげる。

「――と言う訳ですから、ラパンさんに伝えてください」

 私はそうポニ子に伝えて、送りだした。私……というかG-01が陣取ってる宮殿の一角から生えるようにして外に出るポニ子。

「一体どういう原理で移動してるのあの子?」
『なんなんでしょうね。あれは力そのものの存在みたいなものですから、深く考えてもしょうがないでしょう。そもそもがここにこれる時点でおかしいですし』
「ん? なに?」
『いいえ、ですがポニ子でどう伝えるつもりですか?』
「そこはほら、察してもらう?」

 私はそこら辺は別に考えてない。ポニ子も何か考えてくれてるだろう。地面から生えたポニ子にびっくりしてたような人たちもいたが、そんなの気にせずにポニ子は歩き出す。

 ポコポコという足音を響かせてポニ子は歩く。そんなポニ子ももうこの宮殿になじんでるからそんなポニ子の様子を暖かな視線で眺めてる人たちがおおい。ポニ子が「ポニ!」と手をあげれば、宮殿の深いところの警備もすぐに通してくれる信頼されようだ。

 そうやって簡単にラパンさんのいる執務室のようなところまでいった。

「これはこれはポニ子殿。今日は何様ですかな?」
「ポニポニ、ポニポニポニ」

 部屋の前で鉢合わせた初老のダンディなおじさんがポニ子にそういってきた。ポニ子はいつものノリでポニ語を話してる。それをダンディな初老のおじさまがフムフムと聞いてる様はなんかおかしい。白髪交じりの髪を片側で細い三つ編みにして肩にながしてるおじさまは、顔に傷があって歴戦の猛者的な雰囲気があるんだけど……ポニ子の前では彼のとげとげしい雰囲気はなくなってる。

「なるほど……とりあえず主様に用があると?」
「ポニ!」

 ぜったいに今わかってるように聞いてて内容一ミリもわかってないでしょあのおじさん。だってすべて丸投げしてるもん。状況的にラパンさんの部屋の前で鉢合わせたから、ラパンさんに用があるんだろうっていう予想立てて促しただけじゃん。

 なんでポニ語をわかってる風な顔してたのこの人。まあでもポニ子はそんなことは気にせずに親切なおじさんと共になんか手をつないでラパンさんの部屋へと入っていった。

 きっとああいう愛嬌が愛される原因なんだろうね。

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