転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 309

「貴方達は正しい教育を受けなければなりません。そのためです」
「なるほど! 確かに協会には知識が深い方々が多い! そのためですね! 協会の知識を惜しげもなく王家にも共有しようと! その心意気、感動しました!!」

 あっ、うん……なんか適当に……ほんとうにテキトーに口にしたでたらめだったのに、めっちゃ好意的に解釈されて俺、ちょっと困惑だ。そんな大層はことは言ってないはずだ。一応あんまり俺からは下手に偏った発言はしないようにっておもってたんだけどな。

 なにせ俺が協会は悪だ――なんて神父の姿であからさまにいうと、流石に疑われるかもしれないじゃないか。だからここは俺はあくまで神父という立場で協会側にたって、痛いところをプライムに突っ込んでもらう……その予定だったんだが……アヴァーチェの奴が感涙する勢いでほめてきたからプライムだってぽかんとしてるわ。

 でもここで惚ける訳にもいかない!

「ははは、なにせ協会は全ての方々に解放されてる救いの場ですからな」

 自分でいってて寒気がしてきた。てもアヴァーチェは「その通りです!」とか言ってくる。まじで洗脳されてるな。ここまでもそうなんだろうなっては思ってたが、一応プライムと会話とかは成立してたじゃん。けど神父という立場の人が現れると、その言葉には頷くだけになってるぞ。
 これは協会の意向は素晴らしいとか、深い考えがあるに違いないとか勝手に思うようにされてるな……信者も深すぎれば目が曇る。そういうやつだ。そして協会は意図的に、そんな狂信者を作り上げて世界を支配ししていったんだろう。
 アヴァーチェは次期王だ。そんな次期王がこんなされたら駄目だろ。

「救いの場ですか……」

 俺がこれ以上どうしたら……と思ってたらようやくプライムが復活してくれた。

「私にはそうは思えません」
「おやおや、プライム君……でしたかな? 君はまだ子供ですからね。確かに親元から離されて寂しいのはわかりますが、すぐにあえますよ。信じて沢山祈ることです。そうすれば太陽が導いてくれます」
「そうだぞプライム。私も毎日祈ってる。そうすると父上と母上にもすぐに会える。あっという間なんだ。だから寂しさなんて消えるさ」

 うわーそれは祈りという行為で誤魔化してるだけだぞ。さみしいから一生懸命最初は祈ってたら、いつからか祈ることに目的がすり替わったんでは? 協会ならそのくらいやるだろ。

「私はどうして自分たちがここにいないといけないのか――その答えを問うてるだけです。心の話などしてません」

 バッサリ来たな。でもうだうだやってられないから助かる!

「ですからここでなら素晴らしい教育をですね――」
「王宮とここは近いですよ。そっちに派遣させてもらえればいいのではないでしょうか? こんな軟禁のような事をことしなくてもできる距離です」
「軟禁とは恐ろしい。どうやら祈りが足りてませんね」
「祈りでこの世界が救えるとは思えません」
「皆が祈って救われてますよ」
「そうでしょうか? この中央以外では祈りながら沢山死んでいってると風の噂で聞きましたよ?」
「そんなものは噂ですよ。協会は救いを与えてます」

 くっ、吐き気を催す事を言わないといけないのがつらいなこれ。

「救いですか? それなら祈りよりも魔法を与えたほうがいいと思います。いつかの血浄を広めた神父様のように。どうでしょうか? 血浄よりもより広い魔法を市中に広めては?」
「それはなんともいえませんね」
「なぜですか? それは祈りよりももっと直接的な救いになります。協会の本望ではないですか?」
「まだプライム君にはわからないことがあるのです」

 悪い大人っぽく、良い顔をしつあいまいに答える。うん、まさに悪い大人だ。自分の演技もなかなかに様になってるなって思う。

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