転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 16

 とりあえずこのサソリを街から遠ざけるべきだろう。そう考えて私はまずはワンパンチ――奴の堅い外殻を砕いた感触と共に、僅かに後ろに下がった。でもそれだけだ。サソリは複数の脚で耐えている。

「まだまだあああああああああああああああ!!」

 私は更にパンチを放つ。連打に連打を重ねていく。少しずつサソリは後ろへと下がって言ってる。けど……これではいつまで掛かるかわからない。

「この!!」

 私は正面に打ち付けていた拳を下から潜り込ませるようにして打ち上げた。所謂アッパーという奴だ。でも当然、この巨体だ。一発でこの巨体は持ち上がらない。だから姿勢を低くして、僅かに上がった懐に潜り込んで今度は下からパンチの連打を浴びせる。

 連打の速度を上げていく。内部で腕を動かしてる私は既にヘトヘトだった。

「ちょ、ちょっと自動化とかできない? これ以上無理なんだけど!?」

 泣き言である。イヤだってこのサソリ想像以上に抵抗するし重いし!! 私のか細い腕ではこれ以上スピードアップは図れない。私という存在がG-01の性能を余すことなく発揮する事の枷になってしまってる。

『力の制御は覚えたではないですか。後は簡単な組み合わせです。自身の腕はG-01の繋がりを意識して見てください。感覚もアナタは既に操作できるでしょう』

 AIの言うとおりに私はあの緑の世界で色々と成長した。それがあれば、パンチを自動化出来る? とりあえず私は腕と腕のリンクを感じる。私の腕に併せてG-01の腕も動いてる。意識をすればそれがよくわかる。AIは感覚の制御の事をいってた。

(もしかして感覚を低くすればもっと機械的に動かせるってことかな?)

 そんな想像をする。G-01とのリンクが強ければ強いほど、私はG-01をそれこそ自分の体の一部の用に繊細に動かす事が出来る。でも逆にリンクを弱めると動かす事はできるけど、微調整は出来ない。けどいまば微調整なんて必要ない。

 欲しいのは田立からと速度だ。ならリンクを下げて――腕を動かすと何やら通る力の流れみたいなのかある事に気付いた。それを腕を動かさなくても出切れば、G-01を動かす事が出来るのでは? 

「よし!」

 私はリンクを弱めて、腕の動きを止める。そして頭で「打て」と命令する。なんとなくではなく、強く私は念じて、そして腕の動きを意識する。すると次の瞬間、激しい音と共に、真っ暗で気持ち悪かった物しか見えなかったのに、黒い雲が見えるようになった。そして空で点になってるサソリ。

「わーお」

 自分の才能にビックリだよ。

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