転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

輪廻の輪の外へ 64

 完全シンクロ状態でも押し返せないし、背中の装備は何やってるのかわかんないし、このままじゃとても不味いってのはビシバシと伝わってくる。さっきからAIの言ったとおりに背中のユニットを稼働させてるけど、耳障りな音のせいで不快指数だけが上がってるよ! 

 でも一応このユニットが周囲の木々から緑を奪ったんだよね。だから実績は一応ある。何が起きたのかは全くの不明だが、そのたった一回は確かなこのユニットの実績なのだ。だからきっと『何か』が起きてる。そう信じるしかない。
 でも変化がないのは辛い。押し返すにしてもG-01でもパワー不足みたいだし、このユニットが何かをしてるの出あれば、その何かが早く作用して欲しい。けどさ……周囲の木々から緑を奪った時は、一瞬だったのだ。それを考えると、実は効いてないじゃない? っていう懸念がある。てか、既に何回も動かしてるのに、一向にこの攻撃に変化が見られない所を見ると、その可能性が大だ。
 AIが何にも言わないのは、自分がいった手段で起死回生出来てないからじゃない? 

(やっべー、効いてないとか言いづらいんですけど~? とか思ってるんじゃないでしょうね!!)

 不味いよ……流石に腕とかの感覚がなくなってきた。バキバキと言ってるのがわかる。エネルギーを回して、崩れた瞬間に修復してるけど、このままじゃこっちのエネルギーが尽きる方が絶対に早い。なんか感じる力の総量が向こうはは果てしない。
 私もかなり力を蓄えてる。アビスの力を陪乗にしてきたからね。けど、それもロケット形態と今のランドセル形態で消耗した。それに向こうはこれだけの力を放ったと言うのに消耗した感じがない。ポニが集まったあれは……世界の力そのもの……とでも言うわけ? 

 そもそもがポニが謎の存在だけど……そんな謎の存在な中の私の力を受けたポニ子がいつの間に肩に乗ってた。

「ぽにーーーー!」

 緩い感じでポニ子が手を伸ばしてそう言ってる。でも別にその手から何かが出てる……とかはない。でも何かは感じるかも? わからない。なにせ状況が状況だ。そっちに意識をあまり向けてられない。でも変化は起きた。

「だっりゃああああああああああああああああああああああああああああああ!!」

 押し巻けてた鯨の攻撃を私は跳ね返した。何が起きたのかはわからない。けど、今まで押し込まれてた筈の力の起点? んん……なにか力の点みたいなのを感じた気がする。それを上手く反対方向に向けると、あら不思議……なんか跳ね返った。

「ポニ子、何したの?」
「ぽにぽに!」
「よくわかんないけど、ありがと」

 とりあえず助かったからね。お礼は大切だよ。でも安心したのもつかの間、鯨は尾で自分の攻撃を跳ね返してきやがった。効果音をつけるなら、まるでペチッて感じだった。ふざけんな。再びあれを受け止めるの? それもこのラリーをもしかして勇者と魔王が復活するまで続ける……なんの拷問だ。

「ちょっと背中のこれ、役に立ってないわよ!」

 私はAIに文句言ってやった。

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