転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

輪廻の輪の外へ 54

「ポニポニポニポニ」「ポニポニ」「ポニポニポニニ」

 私の腕に居る奴が中心に話を進めてる様なので、途中から体育座りして両腕を掲げてみたら、そこに移動して二体で周囲に何かを呼びかけてるようだった。きっと周囲を説得してくれてるんだろうと信じて私は見守っている。最初は「ポニポニ」と穏やかだったが、次第にポニポニが重なり合って、殆ど合唱の様になってる。これはちゃんと話し合いになってるのかわからない状態だ。

 でも手の上にいる二体は激しく両腕を回したりして、なんか必死みたいだし、私が動くとそれこそ何かのきっかけになるかもしれない……だから私は推移を見守るしかないのだ。

「ねえ、あの存在って何かわかる?」
『貴女も探ってるんじゃないですか?』
 
 AIにそう聞くと、逆に問いただされた。まあ確かに私も探ってるよ。下手な事は出来ないが、スキャンするくらい良いでしょ。けど、なんと不思議な事に、スキャンしても何もわからないんだよね。いや、違うかな。もっと正確にいうなら、スキャン出来ないと言った方が正しい。

「探ってるけど、スキャンそのもの自体が出来ないのよ。確かにそこに居るんだけどな~」

 だって確かに見えてるし。でもスキャン出来ないんだよね。スキャン出来ないと言うことはどういうことだろう? 存在してないって事なのかな? でも居るしね。寧ろいっぱい居るしね。謎である。

『スキャンの種類を変えてみてはどうですか? そこら辺は気付いてますか?』
「スキャンの種類?」
『今はおそらく、オーソドックスなモードな筈です。物体をスキャンするモードでしょう。ですが、あれは曖昧な存在です。私もどうにかそれを感じるしま今は出来ません』

 まさか、AIにはこの光景が見えてないの? 普通に自分の見えることはAIも共有してると思ってた。それにスキャンの種類か……そんな事、考えたこともなかった。そっか、色々とあるんだね~。私がそんな風に感心してると、AIに突っ込まれる。

『少し調べればわかることですけど』
「そんなこと言うんだ……」
『事実ですから』

 そんなこと言われても……正直困る。確かにそういう発想がなかったのは私の想像力の問題かもしれないけどさ……私はそんな機械に詳しいわけじゃない。なんとなくG-01にはわくわくするんだけどね。前世……といって良いかわからないけど、なんとなく前は男性だった気もしなくもない。確信なんて無いけどね。今はこの容姿を気に入ってるからそこら辺はどうでもいいし……

「とりあえずそのスキャンの種類? ってやつを買えてみるか――ひっ!?」

 ビックリした。何にって? それは勿論、緑色の不気味な奴が目の前に居たからだ。やっぱりだけど、こいつ大きい。普通に人くらいある。私よりもでかいし……葉っぱの仮面に緑色の薄い体。どうみても何も着てないし、セクハラですけど……まあこいつにはおっぱいもなければ、ナニもないし、割れ目もないけどね。生物かどうか怪しい。てか、スキャン出来ない時点で生物ではないかもしれない。

「ポニ……ポニポニポニポニ」

 大きな体の割にその声は甲高い。けど……見た目とのギャップもあって、やっぱり目の前で聞くと違和感しかないね。今まではG-01目線だったから、こいつらもある程度、可愛く見えてたけど今やそんな感情はない。寧ろ危機感……みたいな? 何か言ってるが、理解一ミリも出来ない。私は一生懸命、翻訳機能を探す。

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