転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

輪廻の輪の外へ 53

「よしよし、受けはいいね。首も異常なし」

 懸念してたG-01と連動して私の首がゴキって事には今の所なってない。どうやらちゃんとシンクロ率を下げられたみたいだ。この方法がわかったから、今度からは痛そうな時はシンクロ率を下げれば痛みを感じずに居られるはずだ。

(ん? でもこれってこの状態だから出来る事じゃない? 完全にG-01と一体化して戦ってる時には出来なく無い?)

 そんな懸念が思いあたった。だってあれって完全にG-01と一体となってる状態だよね多分? ならシンクロ率を部分的に下げるとか無理な気が……

(まあ、その時はその時だね)

 今はそんな時ではない。どうにかしてこの実を利用して魔王と勇者を復活させなければならない。それにはただ、これに魂を入れるとかではだめなのだ。色々な問題が山積みである。その一つがこいつらでもある。けどさっきまでジッと見てただけよりもなんか空気が柔らかくなった気がする。

(敵対するよりは和解した方がいいよね)

 私はこんなんだが平和主義者なのだ。こんなんって言っても自分自身は美少女なんだから、争い事をやるような見た目ではない。G-01のことである。G-01は強いってわかってる。けど、この葉っぱの仮面した緑色の奴は減ってる様子がない。笑いながら、空へと落ちて行ってるのに……だよ。

 次々と増えてる。AIからの報告でも、既に数え切れない程だ。そんなに受けた? とか思ってる場合じゃないかもしれない。この変な存在の大合唱で頭がクラクラしそうだし……正直不気味に思えてきてる。

「そう、私達は仲間なんだよ。だから……ね。これ頂戴?」

 私は腕についてる奴らに向かってそういうよ。すると今度は周囲の奴らが笑うのをピタッととめた。そして訪れる静寂。

(怖いよ!?)

 いきなり空気が変わるんだもん。こいつら不気味過ぎる。訪れた静寂の中、聞こえる音はこのコクピット内の機械音だけ……まあなんかブーンという冷蔵庫みたいな音と、私が水を揺らすチャプンという音くらいだ。

 何か動くとおびえそうだから、私も首の動きを止めて次の奴らの行動を見守る。すると腕に乗ってる一体が手を上げてなにやら言い出した。

「ポニポニポニポニ」

 ごめん、理解できない。でもどうやらそれは私に向かって言ったわけじゃないようだ。次に別の枝に乗ってる奴がポニポニポニポニと言い出した。それからまた別の奴。今度はポニポニポニポニの合唱が始まった。

「何? なんか会議でもしてる」

 そんな雰囲気である。これは私にこの実をやっても良いのかの話し合いじゃないのだろうか? そうだと嬉しいな。そんな事を期待しつつ、私は推移を見守った。

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