転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

輪廻の輪の外へ 47

 ヴァイス……それは元の世界で言うところの太陽みたいなものらしい。自分の解釈的には……だけど。どうやら明確には太陽って訳でもない。どうやら世界によっては命を育む物は違うらしい。それこそ光なのは定番らしいが、もっと別の何かってのもあるみたい。

 ヴァイスは厳密には命を育むのに絶対に必要な何か……みたいな? そしてどうやら、この森の世界? みたいな所のヴァイスはこの木の集合体みたいなのから育まれる果実? 実? だと言うことがわかった。なにせこの木の集合体みたいな、実は世界の半分くらいを覆ってるとんでもないでかさである。そしてどうやらこの世界、どこまでも続く空の世界でもあるみたい。

 世界とは星で、星から出ればそこには宇宙が広がってるなんてのは、特定の世界でしかないことらしい。ここは宇宙なんてものは存在してないみたいだ。だから太陽なんてない。ないから、代わりにこの木の集合体が太陽の様な物を生み出してるのかも知れない。

 さっき落ちていったヴァイスの果実が落ちていく間が昼で、ヴァイスが深淵へと落ちていくと夜になる……みたいな感じなのかもしれない。深淵にはあれの残骸ぽいっのもなかったけど、アビスがたべてるのだろうか? わからない。

 世界に光を届ける為にめっちゃ光ってたんだね。どうりで、やばい位明るかった訳だ。かなり下に落ちていってるのに、その光はこっちも十分に照らしてる。あれならきっと世界に満遍なく光を届けられるんだろう。けど一つ疑問もある。

「あれって、昼が短すぎない?」

 あのペースで落ちていくと、あっという間に昼が終わる気がする。

『私達はまだ夜を見てませんよ』
「ん? ……ああ、なるほどね」

 一瞬AIの言ってる事がわからなかったが、そういうことか。つまりはヴァイスが落ちるのは一日に一度って訳じゃないって事だろう。まあこれだけ大きい木だ。一日に一個とかケチな事はしないんだろう。

「ねえ、ヴァイスなら二人の体の素体にいいじゃない?」
『確かに、ヴァイスは命を育む事が出来る何か……ですから、二人の魂を受け入れる度量もあるでしょう』
「よし、決まりだね!」

 ある意味、この世界のヴァイスが果実なのは、私達にとっては行幸だったのではないだろうか? だって太陽なんて物じゃ、どうしようもないし、もっと他の別の何かだったとしても、それが手にできる可能性はどのくらいなのか……

 それに比べれば、今、私達はヴァイスが生る木にいるのだ。取り放題とはこの事かな? なので早速私はヴァイス探しを始めた。

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