転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

盤上の迷宮航路にご招待 98

 やっぱり技術というのは素晴らしい。私はG-01の中にいてそれを実感してるよ。なにせ私の命はG-01の技術に支えられてるんだからね。00(イグゼア)の内部情報を分析しつつ、この船の塔の下層の探索も進めつつ、更にはいつものG-01のマニュアルも並行して進めてる私の脳。
 ここにさらに今この円盤を支配してそうなこの目玉たちの事も私は同時に分析解析してる。流石にここまでやると、私の拡張しまくった脳も知恵熱を発するというか……そんな感じがする。
 なのでこのコクピットの温度を下げることにした。簡単だ私の周囲にミストを発してもらってる。これがなかなかに気持ちいい。本来の目的的には私の体を洗浄する為の機能ではある。
 けど温度は適宜調整できるからね。それで体を清めるときよりも温度を低くして、拡散してもらってる。熱を発する頭にちょうど気持ちよく感じる程度でね。

「ふう……」

 チャプ――と私か使ってる浴槽の液体が揺れる。メタリファーの奴は私にこれを渡したかったって事でいいのだろうか? なんであいつがそんなことをするのかはよくわかんないけど……実際これをやることにメタリファーに何のメリットかあるのかもわかんないし……

 そもそもメタリファーに感情的な何かがあるのかもわからない。そんなメタリファーと彼は交流を持てたのか? だからこうやって託すことができた? でもあの存在に出会ったのは偶然とか……そんなの言ってなかったっけ? そこから、仲良くなったのかな? あのメタリファーと? あのよくわからない存在と? 
 まあ彼も特殊な存在だったし、もしかしたら何かシンパシーでも感じたのかもしれない。ただ私は見てるだけだったが、彼は周囲から明らかに浮いてたし、社会という中では常に生きづらそうにしてた。
 普通の人の感性とは違ったのは事実だろう。まあだからってそれでメタリファーと通じ合えるものなの? とは思うけど……実際彼の忘れ形見みたいなのを私は受け取ってしまったわけだし……でもそれならもう用も済んだだろうし、外に出しにやってきてくれてもいいんだけど……その様子はないからね。

 連れてくるのは強引だけど、外には勝手に出て……というスタンスなのかもしれない。そもそも外に出る手段があるかもわかんないけどね。でも新たな技術とか理論とかなんかそこら辺は手に入ってるわけだし、どうにか……なる? 
 てかもしかしたらこの00(イグゼア)の中にはもしかしたらメタリファーとの交信手段なんかもあるかもしれない。その可能性は十分ある。とりあえずこのでっかい円盤を探索しつつ、私はゆっくりと頭を酷使続けてる。
 あとは体の感覚も早く取り戻さないとね。

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