転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

盤上の迷宮航路にご招待 27

 何やらまっくろくて、目が赤い体長50センチくらいの蜘蛛の形をした何かが現れた。ここでこんなのが現れるって……もしかして……

「キィーキィー!」

 そんな声をあげて威嚇してる? 前足を上げて変なダンスをしてるようにも見えるけど、きっとそんなダンスのお誘いをしてるわけじゃないだろう。そして彼らは蜘蛛の巣を吐いてきた。実際蜘蛛が巣をそのまま吐くわけがない。
 だって普通は糸でしょう。それも口からは吐かないよね? 糸を出すのはおしりの方だったはずだ。けど眼の前の蜘蛛は口から巣を吐いてきた。あの特徴的な形をした蜘蛛の巣である。家の角とかに張ってるあれね。
 あれをそのまま吐いてきたのだ。私はとりあえずふわっと避ける。けどいくつもの巣が飛んでくる。流石に多すぎる。避けるだけでは足りそうにない。私は周囲にエネルギーを集める。そして――

「ファイヤー」

 ――そんな声とともに私は集めたエネルギーを一斉に放つ。それによって蜘蛛の巣は薙ぎ払われる。けど次々と現れてくる蜘蛛たち。私は彼らも解析する。

「やっぱりセキュリティだね」

 どうやらこの船のコンピューターのセキュリティみたいだ。私がエネルギーを供給したから、セキュリティも復活してしまった……ということだろう。そして勝手に中に入ってる私をウイルスと認識した。だから彼らは私を捕まえようとしてきてるんだ。

 私は蜘蛛の巣を迎撃しつつ、時間を稼ぐ。彼らは別に自己進化をできるような段階まできてない。だから攻撃手段としてはあらかじめ設定してあった行動しか出来ない。
 だから焦る必要はない。G-01とは数世代……いや数百世代くらいは技術に隔たりがある。そんな化石のようなセキュリティでは私を止めることは出来ないよ。

 私は一斉にエネルギーを周囲に放ってそこらの蜘蛛たちを薙ぎ払う。でもそれは意味はない。なにせ彼らには元々実態なんてない。実際G-01ならこのセキュリティ事態の機能を潰すってこともできる。
 そうしたらこの子達は出てこなくなるだろう。けど私はそれをしてない。むしろもっといい方法を思いついた。なので……ふふ。

 新たに現れた蜘蛛たち。けどその子達はなんか白くなってる。そして凶暴そうな目も青くなって、皆で敬礼をしてくれる。

「うん、古いシステムだけど、その分私でもいじるのは簡単だったね」

 私はこの船のセキュリティを掌握して改造してあげたのだ。コンピューターの基礎的な部分を知るいい勉強になったね。

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