転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 1107

 ネナンちゃんの手が扉に触れる。その瞬間、ネナンちゃんに変化が現れた。ネナンちゃんの背中から青く透明な羽がいくつも現れた。彼女の背中の近くには小さな羽が生えて、彼女から離れてる場所……外側に行くと大きな羽が出て来た。妖精の様な……透明毛細血管見たいなのが見えて、その中に流れてる血液? なのかなんなのかがキラキラとしてる。

 とても綺麗な感じになったネナンちゃん。それに……彼女のその服も同時になくなってしまってる。どういう趣味かと思うが、ネナンちゃんの幼い体はみえてない。まあそもそもがかなり高い高度にいるし、地上からならきっとあの羽くらいしかみえないだろうから全く持って問題はないとおもうけどね。
 なにせ羽がかなりデカい。ネナンちゃんの身長が一メートルくらいしかないのに対して、展開したあの羽は五メートルはある。それにネナンちゃんの体は光で守られてる。デリケートな部分だけを隠すエチケットな光じゃない。彼女の前進から発光するような光だ。

 皆さんが自然とあの羽を目にして祈りだした。きっと神聖な何か……に見えてるんだろう。そしてそれは間違ってないだろう。実際あれは自然に祈りたくなるような……そんな神聖な力を感じる。ネナンちゃんの中にあるサンクチュアリの力が解放されてるみたいだ。

 そして扉とネナンちゃん……さらに言えば空に展開してた太古のこの世界の街の位置を模倣してる魔方陣の光が強くなっていくにしたがって、この世界そのものは暗くなっていく。太陽が陰っていってるんだ。この世界は明と宵を明確に切り替えてた世界だ。
 流れによって変わっていくんじゃなく、スイッチを切ったり入れたりするように明と宵は分かれてた。なのに……今は明確に太陽が陰ってた。燦燦としてた太陽に影が重なって、欠けていき、そして日食のようになった。それによって世界は暗くなる。宵になって崩壊する……ということじゃなく、これは世界全体が陰った状態といっていいだろう。そしてそこで光るのは魔方陣と扉とそしてネナンちゃんだけ。
 拝みたくもなるだろう。

「あれは……鬼」

 なんと陰った空に鬼が見える。沢山の鬼……そんな鬼の一体が何かを落とす。
 それは扉に触れてるネナンちゃんの元へと向かっていく。どうやらあれは鍵のようだ。あの扉の鍵……ということだろうか? 一つはサンクチュアリを覚醒させたネナンちゃんであり、そしてもう一つはこの世界を幾度となく再構築してきた鬼が持ってた……ということか?
 つまりは今、その二つが合わさって、完璧な姿へと……

『ジーゼ様、勇者様、アイさん。それにポニちゃん」

 そういって振り返ったネナンちゃんはどこか大人びてて……というかその姿が成長してた。まだまだ子供だった筈の彼女は綺麗な大人の女性になってる。裸だけど光っててよかったね。
 そして髪の毛もとても長くなってる。宝石のようにきらめく瞳が私たちを優しく見てくる。いきなり成長したネナンちゃん。彼女は私たちにその気持ちを伝えてくれる。

『ありがとうございます。これできっと皆安心できます』

 ギギギギ――と音を立てて空の扉が開き始める。それと共に、この世界がその扉に吸い込まれていってる。この世界の人達だけを楽園に送るんじゃないんだ……と思った。
 この世界そのものを別の世界へ――という事らしい。最後に残るのはネナンちゃんだけ。
 真っ暗になった世界、真っ白に光る扉。その前にたたずむ彼女。この場所に残ったのは私達とネナンちゃんだけ。

『お礼です。これが欲しかったんですよね?』

 ネナンちゃんはその胸から綺麗な宝石みたいなのを取り出した。世界が授けたサンクチュアリの印……私はそれをG-01の手を伸ばして預かる。それと同時に、G-01の手にもっと重いものが現れた。

『彼女は貴方達と共に行くんですよね?』

 それはミレナパウスさんだ。確かにそんな約束もしてたね。私はとりあえず頷いておいた。するとネナンちゃんは満足したように笑ってくれる。

『それでは……またどこかでお会いしましょう。世界を渡っていたら、私たちの楽園に巡り合うかもしれません』

 私はG-01を頷かせる。そして勇者も「ああ、君たちも元気で」といってアイは「その確率は……いえ、またいつか」とかちょっとは感情って奴を理解したような判断をしてた。
 ポニ子は相変わらず「ポニポニ」といって、手を力いっぱい振ってる。ネナンちゃんはG-01がしゃべることもわかってるし、最後だしちゃんと私も別れをいおうと思ったから扉の向こうへと消えゆくネナンちゃんへとこういった。

『バイバイ、またね!』

 ってね。そしてこの世界は消えていった。そして私たちは新たなる世界へ……

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