転生したらロボットの中だった(ただし、出る事はできません)

ファーストなサイコロ

運命という世界線を壊せ 1045

 自分たちは三人+大多数でこの扉から出てこようとしてる化け物に対処してる。きっとこれは砂獣ではないだろう。だからなんと呼べがいいのかわからない。扉から飛騨腕だけを出してるそれ。けどそれだけで破壊力は抜群だ。覆いかぶさるようにアズバインバカラへとその手を下ろそうとしてる。それに対してアイが銃を打つことで止めに入ってるし、自分も聖剣を使ってなんとか切ろうとしてるが、どうやらかなり頑丈だ。既に自分の力は世界を管理してる鬼に匹敵するくらいにはなってると思ってるが……あの腕をスパッと切れる程には至ってないらしい。

 軍や賞金稼ぎの人たちはアズバインバカラの方へと戻ってそこから弓とかで腕を撃退しつつ、砂に腕がついたら、そこへめがけて全軍で突撃して、それを攻撃しまくってる。
 けどそれが効いてるかは正直わかんない。とりあえず今はネナンちゃんも、そしてミレナパウスさんも周囲の人たちにバフを掛けることに専念してる。それにネナンちゃんは植物を成長させていき、そのツタを腕に絡ませることでなんとか拘束しようと頑張ってた。けどそれでもブチブチと音をたてて植物は簡単に引きちぎられてる。けどそれでも……なにもしないよりはましだろうと、ネナンちゃんは何回も挑戦してる。

 そうやってる内に、扉から肩の先、頭がでてきた。バカ長い髪に、縦長の頭。目は見えなくて、腕にもある螺旋の走りが顔にもある。けどその口は光ってて、まるでポッカリと穴があいてるかのようにみえる。

『お、おおおおおお……おおおおおおおおお』

 そんな声が漏れ出てる。そしてその髪が一斉に蠢きだして自分たちに襲いかかってきた。

「つっ!」
「うざったい」

 自分やアイは大丈夫だ。なんとか出来る。けど……そのたった一撃……その一回の攻撃で地上の人たちは沢山やられた。悲鳴が至る所で聞こえる。死んではないようだ。
 なにせミレナパウスさんが癒やしの魔法を使ってくれてる。それによって傷は回復するだろう。けど……明らかにこの化け物と地上の人たちでは実力に差がありすぎる。自分たちでなんとか……だ。地上の人たちは、こいつの髪の攻撃には蹂躙されるしかない。

 なんとか守って上げたいが……自分とアイがなるべく沢山の髪を引き受けることしかできない。けどそれでも……髪は多い。全部がこっちに来るわけじゃない。回復が間に合う間もなく被害は拡大していくことになる。そうなると……そんな想いがよぎる。けどその時、植物が寄り集まってアズバインバカラ……それにジャルバジャルも巻き込んでドーム状になっていった。

 ネナンちゃんがどうやら植物で守る体制に移行してくれたらしい。あれもいつまで持つか……だが、あんな小さな子が作ってくれた僅かな時……これを生かさないでどうする!? 

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品