裏切り者の国

おかゆ

プロローグ

—2020年.....【第六次世界大戦】
 人々は銃口を下に向けることをせず、虚空を保つように弾を詰め続けていた。彼等の死への恐怖は潰え。そういうものだと植えつけられた形骸化した感情だけが鉄屑の様に地へと転がり続ける。自然を蝕み、己が火元となりながら死地へと突撃していく様はよもや自らの生きいる意味を肯定するように。死ぬこと以外に選択肢を有さない———否、有せない
全力で殺しにかかる事を最大の敬意だと評し、戦だから仕方がない——戦とはそういうものだ——『殺さなければ殺される』———
子は満七歳を迎えた時点で国の施設へと派遣される。人口の劇的な減少により、戦地へと送られる年齢が低下。十三歳に達した直後に親との面会を一度だけ許され事実上自分の死を報告して、送り出される。
 そんな歪な世で何かに疑問に感じる事は容易ではない。何かを考える事ができるのは余裕のある者の特権だ。大多数の国民は疑問を疑問と考えることすらできないのだ。
——しかし、そんな洗脳に屈しない者が一部いた。これはそんな一つの家族が歪な世界を歪な方法で終わらせる物語である。

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