『好きです』ヘタレ先輩はそんな簡単な言葉が言えないんですか?

九夜空猫

第1話 自分という人間は

初めまして、もしくはこんにちは。
どうも、九夜くや空猫そらねこです。
駄文になるかもしれませんが、どうかこの作品にお付き合い下さい。





ここは、剣と魔法の世界ファンタジア。
この世界は、空が暗闇に閉ざされ、海は荒れ狂い、大地にはモンスターが蔓延り、魔王が世界を支配している。
人々が諦観の念を抱き絶望に陥る中、一筋の光が世界へと舞い降りた。
光は地上に降り立つと、人の姿を成した。
神々しくも、暖かな光が世界へと溢れ出す。

彼こそが、世界を救う使命を女神より授かり、この地に降り立った遠い星地球より召喚されし、勇者である。
彼の名は······、

***
先達せんだち   はい······!   」
僕がノートに妄想を思いのままに綴っているこの場所は剣と魔法のファンタジー世界などではなく、SFな世界でもない、なんの面白みもない至って普通の現実にある僕の部屋だ。
そこで僕はいつもの日課である妄想を書いていた。
あ、いつもが修飾しているのは日課のほうで、いつも妄想をしている訳では無いのでご安心を。
この日課は僕には欠かすことの出来ない趣味であり、ストレスを発散でもある。
まあ、いつも最初の数行をちょこっとだけ書いて、飽きて、続きを書くことはなくなり、また別の妄想を書き綴るんだけどね。
僕みたいな凡人に文才などあるはずもないので、どこかに投稿するだとか、そういうものでなく、あくまで、ただの駄文生産なのだ。

日課を終えた僕は準備を始める。
何の準備かって?
それは、もちろん。
地獄もとい、強制収監教育施設もとい、高校だ。
現世うつしよに縛られた僕がこの呪縛から逃れる術は懲役が終わるのを待つしかない。

こんなことを中学校ぐらいからずっと思ってた気がする。
というか、高校は別に強制ではないか。
まあ、学校行かないと親に働けと言われるだろうし、働きたくないので行きますけど、なにか?

さてさて、実家から徒歩で私立の高校通いの僕はその日、冬と春の変わり目の風を「寒っ」と感じつつ、登校した。

今日も変わらず、教室のドアを開けようとすると疼く右手の震えを抑えつつ、ドアを開ける。
そして······、
「おはよ」
「よー、そういえばさ、昨日の話知ってるか?   中西のやつ山口のやつに告っでOK貰ったらしいぞ」
「マジでかー。そりゃ、羨ましいこった。俺ら、今はフリーだもんなー」
「だよなー。はぁー。前の彼女にまた付き合おーぜっていったらまた付き合ってくれねえかなー」
「それよりも、新しい出会いを探そうぜ。   今度、皆集めてまたボウリングでも行くか?   」
「おっ、いいね!   じゃ、俺も皆に声掛けてたくさん呼んどくわー」


うん、まあ、こんなもんだよね。
僕の人気をもってすればこんな風に人なんか簡単に集まってボウリングとか行けるんですわ。

まあ、んなわけないけどね!

今までの会話は全て僕の後から入ってきた奴とその友達との会話だ。
僕はそもそも中西も山口も知らないしね!
てかさ、思ったんだけど、皆って誰なんだろうね。クラスの皆とか?   友達皆とか?   それとも、知り合い全員とか?   
僕は1度もボウリングなど誘われた経験が無いので、僕はその中に入ってないということになる。まあ、クラスの皆俺以外はなんかよく俺の知らないクラス俺はいないの集まりが楽しかったとかの話とかしてるけどね。
······別になんとも思ってないけどね?


しばらく、そうしてぼーっとしていると。
「先達くん」
「ひゃい!?   」
これが僕の学校に来ての第一声だ。
そして、今日初めての会話だ。
身を硬直させながら、顔を強ばらせてのね。
「これ、後ろの席に回して」
「あ、うん······」
渡されたプリントを自分の分を取って後ろに回す。

この後、特に何も起きなかった。

まあ、ここまでも何も起きなかったけど。
至って普通の日常。

そして、放課後になり······、部活の時間だ。

意外かもしれないが、僕みたいな他者とは違う非凡な人間も部活という学内コミュ二ティーの一つに在籍している。

部活の活動場所へと着いた。
そこは、部活棟の奥。文化部が軒並み集まる部活棟の3階の1番奥にそこはあった。
部屋の名前を記すプレートには文芸部の文字が。
そう、ここは文芸部の部室。
だがしかし、僕が在籍しているのは文芸部などといったありふれて部活ではない!
元々この部屋は文芸部が使っていた部屋だったのだが、去年、僕が入学した時に先輩たちがいなくなり廃部になって以来、僕達の部活が使わせて貰っている。
まあ、正確にいうと文芸部は名目上は廃部になどなっておらず、そのままであり、僕も対外的には文芸部員ということになっている。
じゃあ、ここでは何をしているのか?
それは、決まっているだろう。
文芸部という、部活を隠れ蓑に使用してまで存在を隠さなければならない部活、そんな部活が平凡であるはずがない。
そう、特別なのだ。
え?   具体的には?   
······まあ、そういう細かいことはいいだろ。

この学校で部活動として成り立つには最低でも3人部活に在籍していなければならない。

一人は特別な力を持ち謎に満ちた少年である僕。
一人は、幽霊部員。一人はこれまた幽霊部員。
両者とも同い年の去年からの部活仲間だ。
まあ、どっちとも書類上でしか交流したことないんだけどね!
でもね、幽霊って英語でゴーストだし、ゴーストが2体もいる部活ってなんか、かっこよくない?
思わない?   そうですか······。

そして、最後の一人。
こいつは、つい先週入ってきたばかりの新人の1年生。


どんなやつかって······?
それは······。

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