貴族に転生、異世界で幸福を掴み取る
貴族学園の寮
ネイロスとロアは最初に裏庭へ来た。裏庭は寮より狭く、中心に大木がそびえ立っている。裏庭は生徒から不人気のようで上級生の姿は見られず新入生もすぐに飽きて別のところへ向かっている姿が見られる。
「ここは何もないね」
ロアは辺りを見渡しながら言った。。
  
「そうだね」
ネイロスは頷いた。
  ネイロスは優しい目つきで大木を見て言う。
「でも、なんだかここは落ち着くんだ。空気がおいしいっていうか気持ちいいっていうか……」
居心地の良さに目を瞑って、鼻からゆっくりと大きく深呼吸をする。日本にいたころとここでの空気の味は全然違うようにネイロスは思えた。それはネイロスが異世界に転生したことを実感させるほどだった。
  
(あの子は何をしてるんだろう? )
ロアと裏庭を出ようとしたとき、ネイロスは木陰へ視線をやった。
  そこには、大人しそうでなんだか気持ちを楽にさせるような顔立ちの男の子がいた。髪の色は黒でも金色でも赤色でもない、白髪というよりは銀色と呼ぶ方が相応しい髪だった。さらに、その美しい髪とマッチした綺麗な顔立ちが似合う、まさに美少年と呼ばれる存在である。ネイロスはその男の子から目を離さずに次の設備へと向かった。
  
「ネイロス君? 」
「何かな? 」
「さっき裏庭で何を見ていたの? 」
ロアは不思議そうな顔でネイロスに訊ねた。
  
「大木のところにいた白色の髪の子だよ」
「あの子のことを見てたんだ」
「そう、髪の色が珍しいと思ったんだ」
  ネイロスが、少し興奮気味に喋るのを見てロアは言う・
  
「あの子はハントハーベンのチェイス領に住んでいる子だよ」
「あの男の子のこと知ってたんだ。声をかければよかったのに」
ネイロスは少し残念そうに肩をおとした。
  そんなネイロスを横目にロアは言う。
「見たことあるだけで一緒に遊んだり話をしたことはないよ、ただあの子の髪の色が珍しいから覚えてたの」
「そういうこと」
ネイロスは肩を上げて納得した。
  その様子を見てロアはクスリと笑った。
  
「な、なんで笑ってるの」
  いきなり笑ったロアに驚き、心配そうに聞いた。
  
「いや、初めて会ったときと比べて元気になったり悲しんだりいろんな顔をするようになったから」
「う、うっ……」
ネイロスの顔は微妙に赤みがかった。
  
「ネイロス君、着いたよ訓練場」
ロアは寮案内パンフレットを片手に目の前の扉を指さして言った。
  
「おぉ!! ここは少し興味があったんだ」
「そうなの? 」
「うん! 僕は魔力に関しては自身があるんだけど筋力に関しては全然だめだから、鍛えられるところが欲しかったんだ」
ネイロスは目を輝かせながら訓練場の中に入り、あちらこちらといろんなトレーニング器具を見回った。
  
  どれも地球のトレーニング器具ほど性能は高くないが筋力を上げるには充分だろう。
  
「私はあっちに行ってるね」
「うん! 満足したらそっちに行くよ」
(それにしてもこの寮はすごいなぁ、魔法で建物の見た目よりも中を広くしてるし、他にもいろんな部屋があるし、強くなるためならとっておきの学園だよ)
「おっと! 」
ネイロスがよそ見しながら歩いていたせいか、体格が自分よりも数段上の上級生とぶつかった。
  
「すみません」
  ネイロスは即座に頭を下げた。
  
「いいよ、頭を上げて」
ネイロスが頭を上げると上級生はにこにこしていた。そう、満面の笑みで。
  史上最強の親子が喧嘩するでお馴染みの某漫画に出てくる親父のような満面の笑みで。
  
  ネイロスは引き攣った笑みを浮かべながら上級生に感謝の礼をする。
  
「許してくれてありがとうございます」
「あ、全然いいよ。そんなことよりも君は新入生ですか」
ネイロスの表情に気付いたのか、上級生は自分の顔をひっぱたいて元の顔に戻した。
  ネイロスはその顔に妙な感情を抱いたが、その優しそうな顔に安心した。
  
「は、はい、新入生のネ、ネイロス・二―ベルンです」
「初めましてネイロス君、俺……わ、私はルーク・フェルといいます」
「はい、ヨロシクオネガイシマス」
  ネイロスは上級生と会話するのが初めてのため、ロボットのようになった。
  
「はは、そんなに緊張しますか? 」
「……はい」
ネイロスは目を合わせられず目線をあちこちとやっていた。
  
(同級生ならまだしも上級生となると緊張する)
ネイロスは人見知りする自分に悔しさを感じた。
  
「緊張する自分が嫌ですか? 」
「……え? 」
ネイロスは思ったことが口に出ていたのか、それとも心を読まれたのかと思い、焦りを見せる。
  
「ははは、君は表情が豊かに、ですね。考えてることがすぐに分かりますよ」
「そ、そうですか!?」
ネイロスは目線をルークに合わせる。
  
「そろそろ授業の時間か……よし! ひとつアドバイスしておきましょう」
「は、はぁ」
「緊張する自分が悔しいと思うことは、自分がその悩みと向き合っているということです。人間は、生き物はみな、悩みや不安と向き合うことで成長しています。これは俺様が尊敬する人から教えてもらった言葉です」
ネイロスは感心したように目を見張りながらルークと名乗った男の背中を見た。
  
「ネイロス君さっきの人は? 」
「ここの上級生のルーク・フェルって人」
  ネイロスは男が去っていったドアを見つめながらロアに説明した。
(あの人、何だったんだ)
スッキリする言葉だったが、同時に変な気持ちがネイロスの心に残った。
  
「次は図書館にいかない? 」
「うん、いこう」
ネイロスはロアの目を見て笑顔で頷いた。
  
  
  図書館にはセラス国で書かれた書籍がほぼ全てある。その証拠に入り口から入るとすぐに大きな本棚にビシッと並べられた大量の本がある。
  
ネイロスとロアは図書館で別行動し、お互い時間がくるまで気になる本を探すことにした。
(ここの本の量、すごいなぁ。 魔法の使い方、神話や伝説、それに武器の扱い方いろいろな種類が置いてある。ここにある本全部で一生過ごせるよ)
ネイロスは本棚を見ていると気になった本に手を伸ばした。
  
「忘れられた戦士の力……」
ほかの本と比べるとパンチのないタイトル。しかし、ネイロスには何かピンとくるものがあったのだろう。
  ネイロスはページをどんどんめくっていった。そして、あるページで止めた。
  
(世界に災厄が訪れるとき神は人の子に神聖な力を与え救世主を生み出すしかし我々の心を踏みにじった悪神はその力を忘れ去られぬために神聖な力を人の子に振りかざしてしまった――この文面、すごく気になる。この本を借りよう)
ネイロスは本を閉じると表紙をまじまじと見つめた。
  
「偶然? だよね」
そこにはルーク・ルエフと書かれていた。
  
ネイロスがその本を片手に図書館の受付へ行く途中、ロアにあった。
「ネイロス、その本は? 」
「あぁ、少し気になってね借りようと思って、うん? 」
ネイロスはロアに話しかけられて違和感を覚えた。ネイロスがロアの顔をまじまじと見つめる。
「ど、どうしたの? 」
「いや、なんでも……」
喋ってる途中で、ロアが手にしている本がネイロスの視界に映った。
  
【友達を作る方法!! これで君も人気者だ!!】
ネイロスは無言でそのタイトルを読むと、視線をロアの顔に移し、目を瞑り一礼すると肩をトンと優しくたたき、振り返ってそのままカウンターへ向かった。
「ここは何もないね」
ロアは辺りを見渡しながら言った。。
  
「そうだね」
ネイロスは頷いた。
  ネイロスは優しい目つきで大木を見て言う。
「でも、なんだかここは落ち着くんだ。空気がおいしいっていうか気持ちいいっていうか……」
居心地の良さに目を瞑って、鼻からゆっくりと大きく深呼吸をする。日本にいたころとここでの空気の味は全然違うようにネイロスは思えた。それはネイロスが異世界に転生したことを実感させるほどだった。
  
(あの子は何をしてるんだろう? )
ロアと裏庭を出ようとしたとき、ネイロスは木陰へ視線をやった。
  そこには、大人しそうでなんだか気持ちを楽にさせるような顔立ちの男の子がいた。髪の色は黒でも金色でも赤色でもない、白髪というよりは銀色と呼ぶ方が相応しい髪だった。さらに、その美しい髪とマッチした綺麗な顔立ちが似合う、まさに美少年と呼ばれる存在である。ネイロスはその男の子から目を離さずに次の設備へと向かった。
  
「ネイロス君? 」
「何かな? 」
「さっき裏庭で何を見ていたの? 」
ロアは不思議そうな顔でネイロスに訊ねた。
  
「大木のところにいた白色の髪の子だよ」
「あの子のことを見てたんだ」
「そう、髪の色が珍しいと思ったんだ」
  ネイロスが、少し興奮気味に喋るのを見てロアは言う・
  
「あの子はハントハーベンのチェイス領に住んでいる子だよ」
「あの男の子のこと知ってたんだ。声をかければよかったのに」
ネイロスは少し残念そうに肩をおとした。
  そんなネイロスを横目にロアは言う。
「見たことあるだけで一緒に遊んだり話をしたことはないよ、ただあの子の髪の色が珍しいから覚えてたの」
「そういうこと」
ネイロスは肩を上げて納得した。
  その様子を見てロアはクスリと笑った。
  
「な、なんで笑ってるの」
  いきなり笑ったロアに驚き、心配そうに聞いた。
  
「いや、初めて会ったときと比べて元気になったり悲しんだりいろんな顔をするようになったから」
「う、うっ……」
ネイロスの顔は微妙に赤みがかった。
  
「ネイロス君、着いたよ訓練場」
ロアは寮案内パンフレットを片手に目の前の扉を指さして言った。
  
「おぉ!! ここは少し興味があったんだ」
「そうなの? 」
「うん! 僕は魔力に関しては自身があるんだけど筋力に関しては全然だめだから、鍛えられるところが欲しかったんだ」
ネイロスは目を輝かせながら訓練場の中に入り、あちらこちらといろんなトレーニング器具を見回った。
  
  どれも地球のトレーニング器具ほど性能は高くないが筋力を上げるには充分だろう。
  
「私はあっちに行ってるね」
「うん! 満足したらそっちに行くよ」
(それにしてもこの寮はすごいなぁ、魔法で建物の見た目よりも中を広くしてるし、他にもいろんな部屋があるし、強くなるためならとっておきの学園だよ)
「おっと! 」
ネイロスがよそ見しながら歩いていたせいか、体格が自分よりも数段上の上級生とぶつかった。
  
「すみません」
  ネイロスは即座に頭を下げた。
  
「いいよ、頭を上げて」
ネイロスが頭を上げると上級生はにこにこしていた。そう、満面の笑みで。
  史上最強の親子が喧嘩するでお馴染みの某漫画に出てくる親父のような満面の笑みで。
  
  ネイロスは引き攣った笑みを浮かべながら上級生に感謝の礼をする。
  
「許してくれてありがとうございます」
「あ、全然いいよ。そんなことよりも君は新入生ですか」
ネイロスの表情に気付いたのか、上級生は自分の顔をひっぱたいて元の顔に戻した。
  ネイロスはその顔に妙な感情を抱いたが、その優しそうな顔に安心した。
  
「は、はい、新入生のネ、ネイロス・二―ベルンです」
「初めましてネイロス君、俺……わ、私はルーク・フェルといいます」
「はい、ヨロシクオネガイシマス」
  ネイロスは上級生と会話するのが初めてのため、ロボットのようになった。
  
「はは、そんなに緊張しますか? 」
「……はい」
ネイロスは目を合わせられず目線をあちこちとやっていた。
  
(同級生ならまだしも上級生となると緊張する)
ネイロスは人見知りする自分に悔しさを感じた。
  
「緊張する自分が嫌ですか? 」
「……え? 」
ネイロスは思ったことが口に出ていたのか、それとも心を読まれたのかと思い、焦りを見せる。
  
「ははは、君は表情が豊かに、ですね。考えてることがすぐに分かりますよ」
「そ、そうですか!?」
ネイロスは目線をルークに合わせる。
  
「そろそろ授業の時間か……よし! ひとつアドバイスしておきましょう」
「は、はぁ」
「緊張する自分が悔しいと思うことは、自分がその悩みと向き合っているということです。人間は、生き物はみな、悩みや不安と向き合うことで成長しています。これは俺様が尊敬する人から教えてもらった言葉です」
ネイロスは感心したように目を見張りながらルークと名乗った男の背中を見た。
  
「ネイロス君さっきの人は? 」
「ここの上級生のルーク・フェルって人」
  ネイロスは男が去っていったドアを見つめながらロアに説明した。
(あの人、何だったんだ)
スッキリする言葉だったが、同時に変な気持ちがネイロスの心に残った。
  
「次は図書館にいかない? 」
「うん、いこう」
ネイロスはロアの目を見て笑顔で頷いた。
  
  
  図書館にはセラス国で書かれた書籍がほぼ全てある。その証拠に入り口から入るとすぐに大きな本棚にビシッと並べられた大量の本がある。
  
ネイロスとロアは図書館で別行動し、お互い時間がくるまで気になる本を探すことにした。
(ここの本の量、すごいなぁ。 魔法の使い方、神話や伝説、それに武器の扱い方いろいろな種類が置いてある。ここにある本全部で一生過ごせるよ)
ネイロスは本棚を見ていると気になった本に手を伸ばした。
  
「忘れられた戦士の力……」
ほかの本と比べるとパンチのないタイトル。しかし、ネイロスには何かピンとくるものがあったのだろう。
  ネイロスはページをどんどんめくっていった。そして、あるページで止めた。
  
(世界に災厄が訪れるとき神は人の子に神聖な力を与え救世主を生み出すしかし我々の心を踏みにじった悪神はその力を忘れ去られぬために神聖な力を人の子に振りかざしてしまった――この文面、すごく気になる。この本を借りよう)
ネイロスは本を閉じると表紙をまじまじと見つめた。
  
「偶然? だよね」
そこにはルーク・ルエフと書かれていた。
  
ネイロスがその本を片手に図書館の受付へ行く途中、ロアにあった。
「ネイロス、その本は? 」
「あぁ、少し気になってね借りようと思って、うん? 」
ネイロスはロアに話しかけられて違和感を覚えた。ネイロスがロアの顔をまじまじと見つめる。
「ど、どうしたの? 」
「いや、なんでも……」
喋ってる途中で、ロアが手にしている本がネイロスの視界に映った。
  
【友達を作る方法!! これで君も人気者だ!!】
ネイロスは無言でそのタイトルを読むと、視線をロアの顔に移し、目を瞑り一礼すると肩をトンと優しくたたき、振り返ってそのままカウンターへ向かった。
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