現代社会にモンスターが湧いた件〜生き残るために強くなります〜
72話 避難所 防衛戦8
遅れてしまい申し訳ございません。
「うん。及第点ですね」
屍と化した元自衛隊員たちを見下ろしながら、そう呟いた。
それを聞き取った皆からは、恨めしそうな視線を感じる。
「じ、地獄っす……」
一郎が呟いた言葉に、全員が賛同して頷いていた。
地面に伏しながら頷いている姿は、なんとも間抜けである。
「でも、かなりレベルアップしたからいいじゃないですか」
「そうっすけどぉ〜……何度も死にかけたから、もうやりたくないっす」
「今回だけだから安心して大丈夫ですよ」
今、明らかに安心したな。
まぁ、気持ちは分からなくもないけどね。
イヴとの組手は、実際に何度も死にかけたし……体が半分吹っ飛んだり、全身の骨が砕けたりとか……上げていったらキリがない。
この人たちに特訓を付けるのは今回限りだから、そこら辺は安心して大丈夫だ。
それに、あんだけ捕まえたモンスターを一気に消費してしまうのは、なんとも言えない気持ちになる。
せっかく集めたコレクションを売り捌く時の気持ちに近いかな。
「僕は殆ど上がらなかったお!こんなに頑張ったのに!」
「テメェはサボってただろうが!」
「ぶほっ!!」
俺は、二郎の顔面を殴りながらキレた。
もちろん、手加減はした。
だって、こいつ逃げ回って戦わなかったからな。
普通のレベル上げと比べれば差は歴然だが、他の自衛隊員たちよりはレベルアップが大人しめだ。
「でもまぁ、他の人たちは思ってたより成果が出たみたいで安心しました」
特に成長したのは、真情、田村、一郎、三郎である。
4人ともレベル40を超え、真情と三郎に至っては1000近くのステータスを手に入れることが出来た。
やはり、格上相手に挑むとレベルが上がりやすい。
複数人で戦っても大量の経験値を得ることが出来るので、かなり効率のいいレベリング方法である。
これで、俺の負担がだいぶ減るだろう。
「ガハハハ!テメェら情けねぇな!へばってねェで立ちやがれ!」
「たいちょ〜……僕は、もう無理ですぅ」
元自衛隊員の誰かが、掠れた声で言った。
他の人たちも声に出さないだけで、同じ気持ちだろう。
「拙者は物足りないでござる。まだ獲物はござらんのか?」
「……もう無いです」
この人は色々とおかしい……笑いながらモンスターを斬るし、めちゃくちゃな速度でレベルアップするから、すでに真情さんに迫るほどの強さに達してしまっている。
俺も、いつか抜かされるかもしれない。
もしそうなったら……イヴに殺されてしまうぞ。
頑張らないとな。
「これで……出来るだけの準備は出来たな」
心情の言葉に、仲間たちは立ち上がって表情を引き締めた。
この戦いに負けたら、失うのは自分の命だけではない。
避難民たちの命もかかっているのだ。
絶対に負けられない……そんな気持ちで、いっぱいである。
「あとは、ソフィアさんの罠に期待ですね。それで、どれだけモンスターを削れるかによって、戦況が変わります」
「あんな華奢で美しい女性でありながら、強さまで兼ね備えているなんて……完璧ですね」
「ア、ハイ。ソウッスネ」
……田村さんは平常運転だな。
ある意味安心した。
「疑ってるわけじゃないんだが……あの嬢ちゃんに任せて大丈夫なのか?」
「もちろん。あの人は俺以上に強いですからね」
「なら良いが……」
真情の心配になる気持ちも分かるが、ソフィア以上の頭脳を持った存在を俺は知らない。
だから、心配するだけ無駄である。
「……ッ!!来ました」
「テメェら!持ち場につけ!」
モンスターの気配を感じ取り、すぐに知らせた。
そこからの動きは早い。
ソフィアから予め貰っていた体力回復の薬を飲み、各自の持ち場へと瞬時に移動していった。
さすが、元自衛隊員と言ったところだろう。
「はぁ……帰りてぇ」
ステータス5000越えも居るな。
死なないように頑張ろう。
そう決意し、俺も移動するのだった。
◇
公民館の周辺には、高さ5メートルほどの壁が作られていた。
十分な幅も作られているので、上に登ることも可能である。
というより、それを想定して作られたものだろう。
その外には、大量の罠が敷き詰められている。
本人に聞いてみたら、「やりすぎちゃった!テヘッ!」と言っていたので、もしかしたら元自衛隊員の方々の出番は無いかもしれない。
「いよいよ……だな」
いつもは陽気な雰囲気を纏っている真情も、今は刺々しいオーラに包まれている。
それほどの強敵ということだろう。
「僕は後ろで、皆を応援してるお。頑張れだお」
「二郎!アンタも戦うんすよ!」
「嫌だお!戦いなんて野蛮なことはしたくないお!そんな事をするより、幼女と戯れてた方が有意義だお!」
「恥を知れ兄者。幼子に手を出したら、拙者が貴様を斬るでござる」
「ひどいお!」
「黙るっすよ!アンタらが口を開くと収まりが効かないっす!」
さすが、三馬鹿トリオ。
既に、混沌としたカオス領域を作り出してしまった。
確かに、これでは収まりが効かない。
「貴方たち……緊張感を持ちましょうか」
田村は眼鏡を人差し指で持ち上げながら、三馬鹿トリオに殺気を飛ばした。
もはや、仲間に向けていいレベルでは無くなっている。
それほどの殺気だ。
「えぇ〜。少しくらい肩の力を抜いた方がいいと思うよ!緊張しすぎて、本来の力を出せなかったら困るからね!」
「はい!私もそう思います!」
おいコラ。
すげぇ切り替えだな。
「ゴボォォォオオ!!」
そんな叫び声と共に、殺意や異臭、そして淀んだ魔力が飛び掛ってきた。
さすがに、これを聞けば三馬鹿トリオも表情を変える。
そして、世界がファンタジー化かしてから、初の大規模戦闘が始まったのだった。
「うん。及第点ですね」
屍と化した元自衛隊員たちを見下ろしながら、そう呟いた。
それを聞き取った皆からは、恨めしそうな視線を感じる。
「じ、地獄っす……」
一郎が呟いた言葉に、全員が賛同して頷いていた。
地面に伏しながら頷いている姿は、なんとも間抜けである。
「でも、かなりレベルアップしたからいいじゃないですか」
「そうっすけどぉ〜……何度も死にかけたから、もうやりたくないっす」
「今回だけだから安心して大丈夫ですよ」
今、明らかに安心したな。
まぁ、気持ちは分からなくもないけどね。
イヴとの組手は、実際に何度も死にかけたし……体が半分吹っ飛んだり、全身の骨が砕けたりとか……上げていったらキリがない。
この人たちに特訓を付けるのは今回限りだから、そこら辺は安心して大丈夫だ。
それに、あんだけ捕まえたモンスターを一気に消費してしまうのは、なんとも言えない気持ちになる。
せっかく集めたコレクションを売り捌く時の気持ちに近いかな。
「僕は殆ど上がらなかったお!こんなに頑張ったのに!」
「テメェはサボってただろうが!」
「ぶほっ!!」
俺は、二郎の顔面を殴りながらキレた。
もちろん、手加減はした。
だって、こいつ逃げ回って戦わなかったからな。
普通のレベル上げと比べれば差は歴然だが、他の自衛隊員たちよりはレベルアップが大人しめだ。
「でもまぁ、他の人たちは思ってたより成果が出たみたいで安心しました」
特に成長したのは、真情、田村、一郎、三郎である。
4人ともレベル40を超え、真情と三郎に至っては1000近くのステータスを手に入れることが出来た。
やはり、格上相手に挑むとレベルが上がりやすい。
複数人で戦っても大量の経験値を得ることが出来るので、かなり効率のいいレベリング方法である。
これで、俺の負担がだいぶ減るだろう。
「ガハハハ!テメェら情けねぇな!へばってねェで立ちやがれ!」
「たいちょ〜……僕は、もう無理ですぅ」
元自衛隊員の誰かが、掠れた声で言った。
他の人たちも声に出さないだけで、同じ気持ちだろう。
「拙者は物足りないでござる。まだ獲物はござらんのか?」
「……もう無いです」
この人は色々とおかしい……笑いながらモンスターを斬るし、めちゃくちゃな速度でレベルアップするから、すでに真情さんに迫るほどの強さに達してしまっている。
俺も、いつか抜かされるかもしれない。
もしそうなったら……イヴに殺されてしまうぞ。
頑張らないとな。
「これで……出来るだけの準備は出来たな」
心情の言葉に、仲間たちは立ち上がって表情を引き締めた。
この戦いに負けたら、失うのは自分の命だけではない。
避難民たちの命もかかっているのだ。
絶対に負けられない……そんな気持ちで、いっぱいである。
「あとは、ソフィアさんの罠に期待ですね。それで、どれだけモンスターを削れるかによって、戦況が変わります」
「あんな華奢で美しい女性でありながら、強さまで兼ね備えているなんて……完璧ですね」
「ア、ハイ。ソウッスネ」
……田村さんは平常運転だな。
ある意味安心した。
「疑ってるわけじゃないんだが……あの嬢ちゃんに任せて大丈夫なのか?」
「もちろん。あの人は俺以上に強いですからね」
「なら良いが……」
真情の心配になる気持ちも分かるが、ソフィア以上の頭脳を持った存在を俺は知らない。
だから、心配するだけ無駄である。
「……ッ!!来ました」
「テメェら!持ち場につけ!」
モンスターの気配を感じ取り、すぐに知らせた。
そこからの動きは早い。
ソフィアから予め貰っていた体力回復の薬を飲み、各自の持ち場へと瞬時に移動していった。
さすが、元自衛隊員と言ったところだろう。
「はぁ……帰りてぇ」
ステータス5000越えも居るな。
死なないように頑張ろう。
そう決意し、俺も移動するのだった。
◇
公民館の周辺には、高さ5メートルほどの壁が作られていた。
十分な幅も作られているので、上に登ることも可能である。
というより、それを想定して作られたものだろう。
その外には、大量の罠が敷き詰められている。
本人に聞いてみたら、「やりすぎちゃった!テヘッ!」と言っていたので、もしかしたら元自衛隊員の方々の出番は無いかもしれない。
「いよいよ……だな」
いつもは陽気な雰囲気を纏っている真情も、今は刺々しいオーラに包まれている。
それほどの強敵ということだろう。
「僕は後ろで、皆を応援してるお。頑張れだお」
「二郎!アンタも戦うんすよ!」
「嫌だお!戦いなんて野蛮なことはしたくないお!そんな事をするより、幼女と戯れてた方が有意義だお!」
「恥を知れ兄者。幼子に手を出したら、拙者が貴様を斬るでござる」
「ひどいお!」
「黙るっすよ!アンタらが口を開くと収まりが効かないっす!」
さすが、三馬鹿トリオ。
既に、混沌としたカオス領域を作り出してしまった。
確かに、これでは収まりが効かない。
「貴方たち……緊張感を持ちましょうか」
田村は眼鏡を人差し指で持ち上げながら、三馬鹿トリオに殺気を飛ばした。
もはや、仲間に向けていいレベルでは無くなっている。
それほどの殺気だ。
「えぇ〜。少しくらい肩の力を抜いた方がいいと思うよ!緊張しすぎて、本来の力を出せなかったら困るからね!」
「はい!私もそう思います!」
おいコラ。
すげぇ切り替えだな。
「ゴボォォォオオ!!」
そんな叫び声と共に、殺意や異臭、そして淀んだ魔力が飛び掛ってきた。
さすがに、これを聞けば三馬鹿トリオも表情を変える。
そして、世界がファンタジー化かしてから、初の大規模戦闘が始まったのだった。
コメント