現代社会にモンスターが湧いた件〜生き残るために強くなります〜
70話 避難所 防衛戦6
公民館の入口には、見張り役の男しかいなかった。
避難民もいるかと思ったけど、こんな危険な場所に置いておくわけないよな。
こんな場所にいたら、一般人には眠ることすらままならないだろう。
「ゾンビはいないようですが……何処にいるんですか?」
「ここへ攻めてきたゾンビは殲滅し、死体は処理しました。残りは少し離れたところにいます。ここへ来るのも時間の問題でしょう」
「……なるほど」
攻められるより、こちらから打って出た方がいいな。
その方が安全そうだしね。
「田村さん、その方たちは新しい避難民ですか?」
公民館の入口に着くと、見張り役の男は、ソフィアをチラチラ見ながら聞いた。
「いえ、違いますよ」
そう答えると、見張り役の男は首を傾げた。
なんの特徴もない青年と、この場に見合わないほど美しい少女が居るようにしか見えないからだ。
「この方たちは助っ人です。隊長や私よりも遥かに強いですよ」
「ッ!!……その方たちが……」
見張り役の男は、信じられないような表情をしていたが、失礼に当たると気づき、すぐに切り替える。
「失礼しました!私は入口の見張り役を務めさせていただいてます。原田と申します」
「あ、はい。佐藤です」
「ソフィアでーす!」
本物の自衛官がやる敬礼は違うなぁ……なんか、キリッとしててカッコイイ。
親父が敬礼してるところを見た事がないから、初めてだ。
緊張して下手くそな挨拶になってしまった。
ソフィアさんよりはマシだと思うけど……。
「では、中へ入りましょうか」
「はい」
「はーい!」
そう返事をし、公民館へ入った。
入って早々、広々とした空間が広がっており、そこで、毛布や布団を敷いて寝っ転がっている人々が大勢いた。
子供たちは走り回ったり、オモチャなどを使って遊んでいる。
「あそこっすね」
俺は見覚えのあるテントを指さした。
あれは、前回来た時に入ったテントだ。
「そう言えば、なぜ室内にテントがあるんですか?」
「ソラ君は馬鹿だねぇ〜。一般人に聞かれたくない会話をするためじゃないか!」
「なるほど……ってか、馬鹿とか言うな」
聞かれたくない会話……か。
あのオッサンに限って、やましい話とかするとは思えないんだけどな。
「ははは。聞かれたくない話というより、一般人が不安にならないようにするためですね。今回の件のように」
「さすが、元自衛官と言ったところですか」
俺は苦笑いした。
こんな世界になっても他人の心配をするのは正直言って無駄な事だとは思うが、同時に憧れでもある。
俺には、他人を心配する余裕が無いし、他人のために命を張るなんて無理だからだ。
まぁ、イヴやソフィアさんの為なら命かけられるけど……そんな場面想像できないな。
あとは、家族くらいか。
そっちも想像できないけど。
「田村です。佐藤さんと、仲間の方を連れてきました」
テントの前に立つと、田村は中へ話しかけた。
すると、前回のように渋い声が返ってきた。
「おう。入れ」
「失礼します」
田村に続いて中へ入ると、イカついオッサンが椅子に座って、楽しそうな笑みを浮かべて待っていた。
「久しぶりだなぁ!ソラ!」
「お久しぶりです。武田さん」
共に笑顔で挨拶をする。
すると、真情はソフィアへ目を向けた。
「そっちの嬢ちゃんは?」
「ソフィアさんって言います。俺の仲間です」
「おぉ!そいつが、お前さんが言ってたデタラメに強い嬢ちゃんか。よろしくな!」
「うん!よろしくー!おじさん!」
こいつ、マジか……初対面の人を"おじさん"って呼びやがった。
恐れ知らずだな。
「がはははは!おじさんか!こりゃあ良いな!」
何がいいんだよ……もしかして、喜んでるのか?いい歳したおっさんが。
「すみません。うちのもんが……」
「俺は呼ばれ方なんて気にしねぇから好きにしな!ソラも好きに呼んでいいぜ!」
「ありがとうございます。では、真情さんと呼びます」
「おう!」
見た目は、ヤクザ顔負けのイカついオッサンだが、中身は近所によくいるオッチャンのような人だ。
やはり、器が大きい。
「そんじゃ……本題に入ろうか」
一瞬で、真情の雰囲気が変わった。
戦闘時の時の張り詰めた空気を身にまとい、歴戦の猛者のような雰囲気になった。
歴戦の猛者とか会ったことないから知らんけど……いや、父さんは戦い慣れてる感じがあったな。
自衛官って、実戦とか沢山あるのかな……分からん。
「今の状況は、田村から聞いているな」
「はい。少し離れたところに、ゾンビの群れがいるとか」
「あぁ、その通りだ。だから、ここの防衛力を強化し、迎え撃とうと思っている」
「迎え撃つんですか?奇襲した方がいいのでは?」
少し離れているだけなら、移動に体力も使わないし、聞いた感じでは大した相手でもなさそうだしな。
俺とソフィアさんなら、余裕で勝てるだろう。
「それだと、ここの守りが薄くなる。現状、戦えるやつは10人もいないんだ。しかも、【鑑定】持ちに能力を確かめてもらったところ、ステータス1000越えのやつかゴロゴロいるらしい」
「なるほど……それはキツいですね」
ステータス1000越えは、真情さん達だけでは勝てないな。
俺たちを呼んだのにも納得できる。
「だから、防衛に徹しようというわけだ」
「それに、アンデッドが群れてるってことは、親玉がいるということだからね〜。奇襲は、僕とソラ君がいても難しいよ」
「詳しいな。嬢ちゃん」
「僕の能力でわかるんだー!」
「ほぉ!じゃあ、頼りにしてるぜ!」
「まっかせてよ!」
「おう!」
テンションが高い者同士、気が合うのか、すぐに仲良くなる。
これがコミュ力が高い人たちの会話か……いや、俺が低いだけだろうな。
そんなことを考えながら、俺たちは会話を進めていく。
避難民もいるかと思ったけど、こんな危険な場所に置いておくわけないよな。
こんな場所にいたら、一般人には眠ることすらままならないだろう。
「ゾンビはいないようですが……何処にいるんですか?」
「ここへ攻めてきたゾンビは殲滅し、死体は処理しました。残りは少し離れたところにいます。ここへ来るのも時間の問題でしょう」
「……なるほど」
攻められるより、こちらから打って出た方がいいな。
その方が安全そうだしね。
「田村さん、その方たちは新しい避難民ですか?」
公民館の入口に着くと、見張り役の男は、ソフィアをチラチラ見ながら聞いた。
「いえ、違いますよ」
そう答えると、見張り役の男は首を傾げた。
なんの特徴もない青年と、この場に見合わないほど美しい少女が居るようにしか見えないからだ。
「この方たちは助っ人です。隊長や私よりも遥かに強いですよ」
「ッ!!……その方たちが……」
見張り役の男は、信じられないような表情をしていたが、失礼に当たると気づき、すぐに切り替える。
「失礼しました!私は入口の見張り役を務めさせていただいてます。原田と申します」
「あ、はい。佐藤です」
「ソフィアでーす!」
本物の自衛官がやる敬礼は違うなぁ……なんか、キリッとしててカッコイイ。
親父が敬礼してるところを見た事がないから、初めてだ。
緊張して下手くそな挨拶になってしまった。
ソフィアさんよりはマシだと思うけど……。
「では、中へ入りましょうか」
「はい」
「はーい!」
そう返事をし、公民館へ入った。
入って早々、広々とした空間が広がっており、そこで、毛布や布団を敷いて寝っ転がっている人々が大勢いた。
子供たちは走り回ったり、オモチャなどを使って遊んでいる。
「あそこっすね」
俺は見覚えのあるテントを指さした。
あれは、前回来た時に入ったテントだ。
「そう言えば、なぜ室内にテントがあるんですか?」
「ソラ君は馬鹿だねぇ〜。一般人に聞かれたくない会話をするためじゃないか!」
「なるほど……ってか、馬鹿とか言うな」
聞かれたくない会話……か。
あのオッサンに限って、やましい話とかするとは思えないんだけどな。
「ははは。聞かれたくない話というより、一般人が不安にならないようにするためですね。今回の件のように」
「さすが、元自衛官と言ったところですか」
俺は苦笑いした。
こんな世界になっても他人の心配をするのは正直言って無駄な事だとは思うが、同時に憧れでもある。
俺には、他人を心配する余裕が無いし、他人のために命を張るなんて無理だからだ。
まぁ、イヴやソフィアさんの為なら命かけられるけど……そんな場面想像できないな。
あとは、家族くらいか。
そっちも想像できないけど。
「田村です。佐藤さんと、仲間の方を連れてきました」
テントの前に立つと、田村は中へ話しかけた。
すると、前回のように渋い声が返ってきた。
「おう。入れ」
「失礼します」
田村に続いて中へ入ると、イカついオッサンが椅子に座って、楽しそうな笑みを浮かべて待っていた。
「久しぶりだなぁ!ソラ!」
「お久しぶりです。武田さん」
共に笑顔で挨拶をする。
すると、真情はソフィアへ目を向けた。
「そっちの嬢ちゃんは?」
「ソフィアさんって言います。俺の仲間です」
「おぉ!そいつが、お前さんが言ってたデタラメに強い嬢ちゃんか。よろしくな!」
「うん!よろしくー!おじさん!」
こいつ、マジか……初対面の人を"おじさん"って呼びやがった。
恐れ知らずだな。
「がはははは!おじさんか!こりゃあ良いな!」
何がいいんだよ……もしかして、喜んでるのか?いい歳したおっさんが。
「すみません。うちのもんが……」
「俺は呼ばれ方なんて気にしねぇから好きにしな!ソラも好きに呼んでいいぜ!」
「ありがとうございます。では、真情さんと呼びます」
「おう!」
見た目は、ヤクザ顔負けのイカついオッサンだが、中身は近所によくいるオッチャンのような人だ。
やはり、器が大きい。
「そんじゃ……本題に入ろうか」
一瞬で、真情の雰囲気が変わった。
戦闘時の時の張り詰めた空気を身にまとい、歴戦の猛者のような雰囲気になった。
歴戦の猛者とか会ったことないから知らんけど……いや、父さんは戦い慣れてる感じがあったな。
自衛官って、実戦とか沢山あるのかな……分からん。
「今の状況は、田村から聞いているな」
「はい。少し離れたところに、ゾンビの群れがいるとか」
「あぁ、その通りだ。だから、ここの防衛力を強化し、迎え撃とうと思っている」
「迎え撃つんですか?奇襲した方がいいのでは?」
少し離れているだけなら、移動に体力も使わないし、聞いた感じでは大した相手でもなさそうだしな。
俺とソフィアさんなら、余裕で勝てるだろう。
「それだと、ここの守りが薄くなる。現状、戦えるやつは10人もいないんだ。しかも、【鑑定】持ちに能力を確かめてもらったところ、ステータス1000越えのやつかゴロゴロいるらしい」
「なるほど……それはキツいですね」
ステータス1000越えは、真情さん達だけでは勝てないな。
俺たちを呼んだのにも納得できる。
「だから、防衛に徹しようというわけだ」
「それに、アンデッドが群れてるってことは、親玉がいるということだからね〜。奇襲は、僕とソラ君がいても難しいよ」
「詳しいな。嬢ちゃん」
「僕の能力でわかるんだー!」
「ほぉ!じゃあ、頼りにしてるぜ!」
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