現代社会にモンスターが湧いた件〜生き残るために強くなります〜

S・R

65話 避難所 防衛戦1

 遅れて申し訳ございませんm(_ _)m
 最近、執筆が進まぬ(๑・᷄ὢ・᷅ ๑)




「ねーねー。ソラくーん」
「ん?どうしたの?」

 研究室に入ったら最短でも丸一日は出てこないのに、ソフィアは珍しく3時間ほどで出てきた。
 一瞬、なにか重要な話でもあると思ったが、それならあんな間延びした話し方にならないだろう。

「この施設に人が入ってきたよー。なんか襲われてるみたい」
「へー、そりゃぁ大変だな」

 そうかそうか。
 人が襲われてるか.......襲われてる!?

「っ!どこにいるの!?」

 そういえば、こいつは人が危険な目に遭っても、何とも思わないやつだったな。

「入口付近だよー。オーガに襲われてるみたい!」
「なんで、お前はそんなに呑気なんだよ.......まぁ、いいや。行ってくる」

 近くに置いてある刀を取り、赤黒いコートを羽織る。
 厨二病感全開の服装ではあるが、レッドオーガの皮で作られたコートだから、ちょっとやそっとじゃ傷つかない優れものだ。

 ソフィア好みのデザインにしたらしい。

「いってらっしゃ〜い!僕は監視カメラでのんびり観てるよ」
「了解」

 一応、警戒はしてくれるようだ。
 何かあったら、すぐに駆けつけてくれるのだろう。

 ソフィアが持ってるタブレットに目を向ける。
 かなり危ない状況のようで、オーガ3体に弄ばれていた。
 

 扉を開き、腰を低く落とす。
 そして.......

「さてと.......切羽詰まった状況みたいだし行くか」

 足に力を入れ、一気に加速する。
 ここら辺のモンスターは借り尽くしたから鉢合わせることがないので、さらに加速した。

「お、いたいた.......ん?」

 あれは.......田村さん?
 何故ここにいるのか?という疑問を抱いたが、それよりも助けに入ることが先だ。

 スキル【超加速】を使用し、目にも止まらぬ速さでオーガとの距離を縮める。

「ふっ!」

 そして、オーガの顔面に一発ずつ拳を放ち、一撃で沈めた。
 少し前までなら手こずっていた相手だが、今ではステータス300程度の相手なら簡単に倒せるようになった。

「大丈夫ですか?田村さん」

 そう言って、手を貸す。

「あ、ありがとうございます……お久しぶりですね。佐藤さん」

 本来なら笑顔で再会を喜ぶところなのだが、田村は険しい表情をしている。
 やはり、何かあったのだろう。

「ここは危険なので移動しましょう。安全な所へ案内します」
「そうして頂けると助かります」
「何があったのか、走りながら教えてください」
「……はい」

 そして、田村さんは話し始めた。
 真情さんや三馬鹿トリオ、そして避難所の人たちに襲いかかった脅威を……



「おい田村ァ!確か、そろそろ巡回の時間だったよな?」
「はい。珍しく覚えていてくれたようですね。それと、そんな大声を出さなくても聞こえます」
「がははははっ!悪ぃ悪ぃ!俺ァ小さく話しても大きいんだ!」
「はぁ……」

 相変わらずの声のデカさに耳を塞ぐ。
 何度も注意をしているのだが、一向に治る気配がない。
 私は思わずため息を吐いてしまう。

 そんな様子を見た真情は、ニヤリと口元を歪めて言った。

「田村よォ……ため息を吐いたら幸せが逃げるぜェ?」
「誰のせいだと思ってるんですか!?」
「がははははっ!やっぱ、お前はおもしれぇな!」
「私は面白くないです!」

 こんなのでも実力は確かなのだ。
 そう……実力は……だ。
 ついでに真面目で物静かな性格だったら、完璧な武人だっただろう。
 まぁ、武人ではなく自衛官なんだが。

 しかし、正義感溢れる男ではあるで、みんなからは慕われている。
 そして、戦闘能力が高いだけでなく、指揮者としての実力も高いから、この人以上に人を引っ張るのに相応しい男は、なかなかいないだろう。

「ほら!早く行きますよ!」
「がははっ、そんな急かさんでも行くぞ」

 私は先にテントから出て行く。
 それについて行くように、真情は苦笑いしながら小走りした。

「あ!隊長のオッチャンだ!」

 10歳にも満たない少年が、トコトコと走ってやってきた。

「おうおう。坊主、元気にしてっか?」
「うん!」

 少年は人懐っこい笑みを浮かべながら、返事をした。
 真情によく懐いているようだ。

「僕ね!今は新しく出来た友達と遊んでるんだ!」
「がははははっ!そうかそうか!そりゃあ良かったぜ!」

 真情は少年の脇を持って持ち上げた。
 まるで、父と子のように触れ合っている。

「あー!ずるーい!僕も遊びたーい!」
「私も私もー!まぜて!」

 すると、同い年くらいの少年と少女もやって来た。
 どうやら、この2人が新しい友達のようだ。

「がははははっ!慌てるな慌てるな!俺ァ逃げねぇからよ!」

 真情は本当に子供から好かれやすい。
 見た目はヤクザ顔負けの厳つさだが、その大雑把な性格が良かったのか、すぐに仲良く出来る。

 もちろん、子供だけからではない。
 子供から大人まで、老若男女問わず相手の心を開くことが出来るのだ。
 この好かれやすい体質のお陰で、今では避難所の責任者である。
 これほどの適任者はいないだろう。

「隊長……そろそろ行きますよ」

 子供たちには申し訳ないが、隊長が巡回に出ないわけにはいかない。
 私は心を痛めながら言った。

「隊長は、これからお仕事なんだ。また後で遊んでね」

 くっ!……こんな笑顔を浮かべている子供たちに言うのは心苦しいが、これも君たちの為だ。
 許してくれ!

「えー!眼鏡のオッチャンいじわるー!」
「おっ、オッチャン!?眼鏡!?」
「ガリガリのオッチャン邪魔〜!」
「ぐはっ!が……ガリガリ」

 な、なぜ私がそんな事を言われなければ……!!

 子供たちからの罵倒を浴びて、瀕死状態になってしまう。
 そこで、さらに追い打ちをかけられる。

「英一お兄ちゃん……まだ……遊びたいよぉ……」

 邪龍の伊吹よりも恐ろしい、この世で最も凶悪な攻撃……その名も『幼女の涙』!
 この攻撃を受けた者は、頼み事を断れないという恐ろしい技である。

「ぐはっ!」

 こんな苦痛を味わったのは、富士山の頂上まで登って、ノンストップで往復した時以来だ。
 もちろん、隊長が提案した訓練である。

「はぁはぁはぁ……ごほっ……」
「お、おい……大丈夫か?」

 珍しく、真情が心配している。
 それほど酷い表情をしているということだろう。

「だっ……大丈夫です」

 そう言って、何とか立ち上がった。
 まだ、足が笑っているが、立つことは可能だ。

「ふぅ……では、もう少しだけ遊んでいいですよ。ただし、あと30分だけです」

 その言葉を聞いた瞬間、子供たちは顔を明るくさせて大喜びし、私も交えて遊んだのだった。

 結局、1時間くらい遊んでしまったが……まぁ、偶には良いだろう。

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