現代社会にモンスターが湧いた件〜生き残るために強くなります〜
22話 初めての迷宮〜その2〜
「これでやっと修行が出来るな!」
「ふぁい。できましゅね.......」
顔をパンパンに腫らしながら、俺はなんとか返事をした。
お察しの通りイヴにボコボコにされてしまったのだ。
まぁ、今回は俺が悪いし文句の言いようがない.......しかし、これはやりすぎでは無いのか?と少し思ったりする俺。
まぁ、口にはしないけどな。
「お?そこにモンスターハウスがあるな!中に入るぞ!」
イヴはなにか見つけたようだ。
可愛らしい笑顔を浮かべながら壁をジーッと見つめていた。
「モンスターハウスってなんだ?なんか不穏な響きだし嫌な予感がするんだけど.......」
そして、その予想は当たった。
イヴはニヤリと邪悪な笑みを浮かべて言った。
「モンスターハウスとはモンスターが大量にいる部屋だ。死ぬ確率が上がる分、その部屋にある宝箱の価値はあがるぞ。それにレベル上げにもなるしな!」
「いやいやいや、レベル上げになるのは分かるけど、そもそも何処にあんだよ。周りには壁しかねぇよ?」
モンスターハウスを見つけたと言っているイヴだが、肝心のモンスターハウスが何処にあるのかが分からない。
ここには何も無いのだ。
「モンスターハウスは隠し部屋か罠として使われているのだ。つまり.......」
「つまり?」
「こういう風に隠れていたりするのだ!」
と言って、イヴは俺を壁に向けて蹴り飛ばした。
「うおっ!」
そのまま激突して、俺は壁のシミになるのかと思ったが、何故か壁を"すり抜けて"別の大きな空間に入った。
そして、顔面から地面に着地する。
「くそぉ.......痛いからこういうことはやんないで欲しいんだけど.......まぁ、言っても無駄か」
と、俺は諦めたように言った。
そして、イヴの言った意味に気が付いて納得する。
「つまり隠し部屋の場合は、すり抜ける壁の中にあるということか」
「うむ。だから、しっかり見ておかないと見逃してしまうのだ」
と言いながら、イヴは壁の向こう側から入ってきた。
「いきなり蹴るんじゃねぇ!痛いだろうが!」
「うるさいぞ。ほれ、敵さんのお出ましだ」
「.......敵さん?」
イヴに言われて俺は、ぎこちなくギィィと首を後ろへ向けた。
広さは半径50メートルほどの大きな洞窟。
そこには大量ゴブリンがいたのだった。
「.......帰って良いっすか?」
「ダメだ」
割と本気の涙目をしながら聞いたのだが、即答で却下されてしまった。
まぁ、予想通りなんだけどね.......でもさ、こんな大量だとは聞いてねぇよ!
「見た感じ50匹はいる気がすんだけど気のせいだよね?」
俺は縋るように聞いたが、イヴは容赦なくモンスターの数を教えた。
「いや、100いるな」
俺の今の気持ちが分かるか?
朝早くからモンスターの大群とたたかったり、スライムに腕を喰われたり、邪龍に助けて貰えたと思ってたら右腕がスライム化して魔人になったり、寝起きに巨大な龍の顔があったりとか、世界がファンタジー化して二日目なのに、俺の二日間濃すぎだっつぅの!
全く期待していないが、一応聞いておこう。
「あ、あのぉ.......もちろんイヴさんも手伝ってくれますよね?」
「アホか。手伝うわけなかろう。一人でやるのだ。我はそこら辺で寝っ転がって待っておるからな」
と言って、イヴは本当に寝っ転がった。
あのクソ駄龍、絶対にいつかぶん殴る!と俺は改めて心に誓ってゴブリンの大群に向かって行った。
「ふむ。あの思い切りの良さも彼奴が持つ"才能"の一つであるな。普通の人間だったら逃げるところであろう」
イヴは感心したような馬鹿を見ているような目で、ゴブリンの大群に向かったソラを見ていたのだった。
◇
100体のゴブリンたちを前に俺は呟く。
「正直言って、めちゃくちゃ怖いけど殺るしかねぇよなぁ」
確かに、戦えば戦うほどレベルが上がって強くなるけが、一度に戦う数の限度というものがある。
一度に100のゴブリンと戦うのは頭のおかしい奴か戦闘狂だけだ。
「"数は力"って言うしな。まずは先頭の動きを鈍らせるか」
俺は【威圧】を放ち、先頭に立っているゴブリンたちの動きを鈍らせた。
「まずはお前らからだ!」
俺は狙いを定めて目の前にいるゴブリンたちの首を同時に四つ刎ねる。
他のゴブリンたちは殺された仲間に見むきもせず、前方両サイドから俺に向かって来た。
もしかしたらモンスターには仲間意識が無いのかもな。それかダンジョンのモンスターには、そういった感情が無いとか.......まぁ、どちらでも良いか。
「はっ!」
前方からのゴブリンの対処には、先ほど斬ったゴブリンを蹴り飛ばして邪魔をした。
両サイドから向かって来るゴブリンには、特に何かする必要も無い。
俺は左のゴブリンの喉元を剣で串刺しにし、右のゴブリンは頭を鷲掴みにしてやった。
「喰らい尽くせ」
俺は一言呟いて掴んだゴブリンを右腕で飲み込んで、左にいるゴブリンの喉元から剣を引き抜いた。
ついでに、ゴブリンが持ってた剣と盾も喰らっておこう。
「さて.......【暴食の右腕】の性能も試せた事だし続きと行こうか」
と言って、俺はモンスターたちの殺気を浴びながら、剣を左手に持って不敵な笑みを浮かべたのだった。
パーティーメンバー
・佐藤 空
・イヴィル
「ふぁい。できましゅね.......」
顔をパンパンに腫らしながら、俺はなんとか返事をした。
お察しの通りイヴにボコボコにされてしまったのだ。
まぁ、今回は俺が悪いし文句の言いようがない.......しかし、これはやりすぎでは無いのか?と少し思ったりする俺。
まぁ、口にはしないけどな。
「お?そこにモンスターハウスがあるな!中に入るぞ!」
イヴはなにか見つけたようだ。
可愛らしい笑顔を浮かべながら壁をジーッと見つめていた。
「モンスターハウスってなんだ?なんか不穏な響きだし嫌な予感がするんだけど.......」
そして、その予想は当たった。
イヴはニヤリと邪悪な笑みを浮かべて言った。
「モンスターハウスとはモンスターが大量にいる部屋だ。死ぬ確率が上がる分、その部屋にある宝箱の価値はあがるぞ。それにレベル上げにもなるしな!」
「いやいやいや、レベル上げになるのは分かるけど、そもそも何処にあんだよ。周りには壁しかねぇよ?」
モンスターハウスを見つけたと言っているイヴだが、肝心のモンスターハウスが何処にあるのかが分からない。
ここには何も無いのだ。
「モンスターハウスは隠し部屋か罠として使われているのだ。つまり.......」
「つまり?」
「こういう風に隠れていたりするのだ!」
と言って、イヴは俺を壁に向けて蹴り飛ばした。
「うおっ!」
そのまま激突して、俺は壁のシミになるのかと思ったが、何故か壁を"すり抜けて"別の大きな空間に入った。
そして、顔面から地面に着地する。
「くそぉ.......痛いからこういうことはやんないで欲しいんだけど.......まぁ、言っても無駄か」
と、俺は諦めたように言った。
そして、イヴの言った意味に気が付いて納得する。
「つまり隠し部屋の場合は、すり抜ける壁の中にあるということか」
「うむ。だから、しっかり見ておかないと見逃してしまうのだ」
と言いながら、イヴは壁の向こう側から入ってきた。
「いきなり蹴るんじゃねぇ!痛いだろうが!」
「うるさいぞ。ほれ、敵さんのお出ましだ」
「.......敵さん?」
イヴに言われて俺は、ぎこちなくギィィと首を後ろへ向けた。
広さは半径50メートルほどの大きな洞窟。
そこには大量ゴブリンがいたのだった。
「.......帰って良いっすか?」
「ダメだ」
割と本気の涙目をしながら聞いたのだが、即答で却下されてしまった。
まぁ、予想通りなんだけどね.......でもさ、こんな大量だとは聞いてねぇよ!
「見た感じ50匹はいる気がすんだけど気のせいだよね?」
俺は縋るように聞いたが、イヴは容赦なくモンスターの数を教えた。
「いや、100いるな」
俺の今の気持ちが分かるか?
朝早くからモンスターの大群とたたかったり、スライムに腕を喰われたり、邪龍に助けて貰えたと思ってたら右腕がスライム化して魔人になったり、寝起きに巨大な龍の顔があったりとか、世界がファンタジー化して二日目なのに、俺の二日間濃すぎだっつぅの!
全く期待していないが、一応聞いておこう。
「あ、あのぉ.......もちろんイヴさんも手伝ってくれますよね?」
「アホか。手伝うわけなかろう。一人でやるのだ。我はそこら辺で寝っ転がって待っておるからな」
と言って、イヴは本当に寝っ転がった。
あのクソ駄龍、絶対にいつかぶん殴る!と俺は改めて心に誓ってゴブリンの大群に向かって行った。
「ふむ。あの思い切りの良さも彼奴が持つ"才能"の一つであるな。普通の人間だったら逃げるところであろう」
イヴは感心したような馬鹿を見ているような目で、ゴブリンの大群に向かったソラを見ていたのだった。
◇
100体のゴブリンたちを前に俺は呟く。
「正直言って、めちゃくちゃ怖いけど殺るしかねぇよなぁ」
確かに、戦えば戦うほどレベルが上がって強くなるけが、一度に戦う数の限度というものがある。
一度に100のゴブリンと戦うのは頭のおかしい奴か戦闘狂だけだ。
「"数は力"って言うしな。まずは先頭の動きを鈍らせるか」
俺は【威圧】を放ち、先頭に立っているゴブリンたちの動きを鈍らせた。
「まずはお前らからだ!」
俺は狙いを定めて目の前にいるゴブリンたちの首を同時に四つ刎ねる。
他のゴブリンたちは殺された仲間に見むきもせず、前方両サイドから俺に向かって来た。
もしかしたらモンスターには仲間意識が無いのかもな。それかダンジョンのモンスターには、そういった感情が無いとか.......まぁ、どちらでも良いか。
「はっ!」
前方からのゴブリンの対処には、先ほど斬ったゴブリンを蹴り飛ばして邪魔をした。
両サイドから向かって来るゴブリンには、特に何かする必要も無い。
俺は左のゴブリンの喉元を剣で串刺しにし、右のゴブリンは頭を鷲掴みにしてやった。
「喰らい尽くせ」
俺は一言呟いて掴んだゴブリンを右腕で飲み込んで、左にいるゴブリンの喉元から剣を引き抜いた。
ついでに、ゴブリンが持ってた剣と盾も喰らっておこう。
「さて.......【暴食の右腕】の性能も試せた事だし続きと行こうか」
と言って、俺はモンスターたちの殺気を浴びながら、剣を左手に持って不敵な笑みを浮かべたのだった。
パーティーメンバー
・佐藤 空
・イヴィル
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