現代社会にモンスターが湧いた件〜生き残るために強くなります〜

S・R

19話 職業選択〜前編〜

「宝箱とは迷宮の中に存在するボーナス特典のような物だ」
「へぇ.......中には何が入ってるんだ?」

 宝箱というくらいだから、なにか凄い物でも入ってるのだろうか。

「色々あるぞ。武器やスキル、そしてジョブなど様々な物が入っている。そのレア度は迷宮の難易度や階層に依存している」
「迷宮ってのはモンスターが溢れるダンジョンって認識で良いか?」
「うむ。そして、これからお主が修行する場所である」

 クソっ!やっぱり誤魔化せなかったか.......。
 いや、第一印象は"駄龍"とはいえ、仮にもコイツは"邪龍"だ。
 邪龍に、 特訓を付けて貰える事を幸運に思った方が良いか。

「ち、ちなみにどのくらいの難易度なんだ?」
「100階層で難易度が5段階に別れている迷宮を見つけたのだ。難易度は少し高いくらいだろうな。そこで修行を行う」

 すげぇなコイツ.......短時間でそんな事まで調べられたのかよ。
 さすが邪龍だ。

「了解」

 本当は家族の所に行きたいけど、向こうは大丈夫だろう。
 今日は妹の学校に、特別講習として5、6時間目の授業に自衛隊が来てるからな。
 しかも親父が行くみたいだし、母さんも見学として行くって言ってたから大丈夫だろう。
 俺の妹は、やはり幸運の持ち主なのだろうか。
 昔からアホみたいに運がいいのだ。
 暇な時に適当に散歩しに行ったら1万円を拾ってきたり、たまたま助けたお婆さんがメチャクチャお金持ちでお礼として莫大な金額を貰ったり.......とにかく運が良いのだ!
 っと、話がまた逸れたな。

「それで、どうやって迷宮に向かうんだ?」
「もちろん空を飛んで行く」



 拝啓、お父さん、お母さん、そして妹よ、世界がファンタジー化してから今日で2日目です。
 現在は風邪が流行っている季節ですが、体調を崩されておりませんか?
 僕は、とても元気です。
 そして、僕は今ドラゴンの上に乗って風になっています。
 こちらは、とても元気で楽しくやっているので心配しないでください。
 空より

「お主は何を言っておるのだ?」

 と、邪龍は若干引きながら聞いてきた。
 おっと、どうやら声に出ていたようだ。

「親父と母さんと妹は俺がいなくて心配してるだろうなって考えたら、じっとしてられなくてな。心の中だけでも現在の状況を報告しておこうと」
「つまり気休めか」
「そうとも言う」
「気休めも良いと思うが、そこまでにしろ。着いたぞ」
「お!やっと着いたか!」

 そして俺は、迷宮があるという場所を見下ろした。
 そこには.......

「.......なんだこれ?研究所じゃねぇかよ.......ん?あれば洞窟の入口か?」

 見下ろした先にあったのは、トラック1台分の大きさはあるであろう迷宮の入口と、その周りには研究所の建物らしき物があった。
 一言で説明すると、研究所のど真ん中に迷宮の入口があるということだ。

「それでは着陸するぞ」
「了解」

 そして邪龍は、ゆっくりと地面に着陸し、俺は邪龍の背中から飛び降りた。
 進化したおかげで、身体能力は上昇し、ちょっとの衝撃じゃビクともしなくなったのだ。

「これが迷宮か.......てか、数時間前に戦闘したばっかだから、今から特訓とかキツいんだけど.......」
「死にかけたら我が助けてやるから安心せよ」
「そういう問題じゃないんだけど.......」

 はぁ、こいつには何を言っても無駄か。と、心の中で思いながら肩を落とした。
 そういえば、邪龍の名前を聞いてなかったな。

「聞き忘れてたんだけど、お前の名前は何だ?」
「我の名か?.......そういえば教え忘れていたな。うむ、特別に教えてやろうではないか!心して聞くが良い!我が名はイヴィルである!特別に貴様にはイヴと呼ぶことを許可してやる!喜ぶのだ!」
「お、おう.......ありがとう?確か"悪"って意味だったか?」

 見た目からして"悪"って感じがしてるが、"イヴィル"はイーヴィルから来たのか?
 見た目もそうだが、名前も悪いドラゴンって感じだな。

「この世界の人間の言語に合わせただけだ。我が扱う龍言語で言ったら、お主には聞き取れん」
「なるほどね。俺のことも空でいいぞ」
「うむ、それでは空よ。修行を始めるとするか」
「ちょっと待て。俺は職業を選んでいない。なんかアドバイスがあったら教えてくれるとたすかるよ」

 目の前に職業選択の画面があるのに、今まで忘れてたわ。

「あれほどの強さを持ちながら、まだ職業を選んでいなかったのか.......想像以上の潜在能力だな。これは当たりかもしれん」

 最後の方は声が小さくなって、よく聞き取れなかったな。

「なんか言ったか?」
「いや、なんでもない。それで選択肢にある職業は何だ?」

 そして俺は、イヴに職業の選択肢を教え、それぞれの職業の効果を聞いた。
 固有スキル【万物鑑定】という目に映るもの全てを鑑定することが出来る能力を使って調べたようだ。
 因みに、ステータスは自分が許可すれば相手に見せることが出来るようだ。

職業ジョブの選択をしてください
 選択可能な職業ジョブ
 ・『武闘家』 ・・・【体術】【身体強化】【剛腕】
 ・『戦士』  ・・・【剣術】【身体強化】【腕力強化】
 ・『剣士』  ・・・【剣術】【身体強化】【斬撃】
 ・『錬成師』 ・・・【錬成】【鉱物鑑定】【魔力操作】
 ・『狩人』  ・・・【短剣術】【気配感知】【隠密】
 ・『探索者』 ・・・【地図作成】【気配感知】【危機感知】
 ・『冒険者』 ・・・【気配感知】【危機感知】【魔物鑑定】
 ・『料理人』 ・・・【料理】【鋭利】【食料鑑定】
 ・『駆除人』 ・・・【罠作成】【毒物作成】【気配感知】【隠密】
 ・『狙撃手』 ・・・【狙撃】【気配感知】【隠密】【鷹の目】
 ・『医者』  ・・・【医術】【薬品作成】【毒物作成】【毒耐性】
 ・『魔物使い』・・・【魔物眷属】【魔物鑑定】
 以上が選択可能な職業ジョブです』

 『魔物使い』が増えてるけど、俺が『魔人』になった影響かな?
 まぁ、選択肢が増えることは良いことか。

「ふむ。良い職業が揃っているな.......だが『剣士』一択だ」




パーティーメンバー

・佐藤 空

・イヴィル

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品