現代社会にモンスターが湧いた件〜生き残るために強くなります〜

S・R

9話 情報の共有

 あまり情報は無いと言っていたが、かなり重要な情報がいくつも出てきた。
 生徒会長から教えて貰った情報は、大まかに分けて4つだ。

・スキルは使えば使うほどレベルが上がって強力になる。

・モンスターを倒すとレベルが上がる。

・レベルが1上がる事にステータスが3上がる。

・パーティーを組めば仲間全員に経験値が貰える。(パーティメンバーに経験値は分配されるから、人数が多ければ一人あたりの経験値は減る)

・レベルが0から1に上がると職業ジョブの選択が可能になる。

 まるでゲームみたいだな.......
 これが俺の感想だ。

 1つ目の、スキルは使えば使うほどレベルが上がって強力になるという情報は、会長自身が実際に試したようだ。
 『一定の熟練度に達しました』というアナウンスだけで、ここまでの答えに辿り着き、裏付けを取ったのだろう。
 実際、誰でも、これくらいの推測は出来るだろうが、ステータスとスキルという概念が現れて約1時間半だ。
 たったこれだけの時間で、ここまで人を集めて統率し、情報を共有することなんて、大人でも難しいだろう。
 それを簡単にやってのける生徒会長は化け物か何かだろうか?

 話がズレたが、それを短時間で調べることが出来たということは、恐らく生徒会長には成長速度が上がるようなスキルを持っているのだろう。
 その理由としては、ゴブリンと2度戦って結局レベルが上がったスキルは『集中』と『冷静』が1ずつ上がっただけだからだ。
 レベルが1上がっただけで、その答えで間違いないと生徒会長が判断するとは思えないので、少なくとも俺よりはスキルのレベルアップの経験があり、体育館に辿り着くまでに何度か戦闘もしたのだろう。

 2つ目の、モンスターを倒せばレベルが上がるというのは、そのままの意味だ。
 たくさん倒せばレベルが上がるのだろう。
 これも生徒会長が実証済みだ。

 3つ目の、レベルが1上がる事に3上がるという情報は、ここにいる全員が情報を共有して判明したことだ。
 つまり、この中にレベルが2以上の者が数名いるということだ。
 もちろん、レベルが上がり続ければステータス上昇に変化があるかもしれないが、今のところは、この情報で間違いないだろう。

 4つ目の、パーティーを組めば仲間全員に経験値を貰えるという情報は、生徒会長が確かめた。
 自分がジョブを選択した後、かなり戦闘能力が上がったみたいで、近くにいた生徒会役員に生け捕りにしたゴブリンを殺させて確認したようだ。

 5つ目の、レベルが1に上がると職業ジョブの選択が可能になるという情報は、モンスターの討伐経験がある人たちからの情報だ。
 この中には、10人ほどモンスターの討伐を経験した人がいるので、この情報の信憑性は高い。
 しかも、全員が、たった1回の討伐でレベル1に上がっているので、ジョブ持ちの人が一体モンスターを生け捕りにすれば、ジョブ無しに殺させ、ジョブ持ちを1人増やすことが出来る。
 そうして戦力を増やすという方法も取れるのだ。

 ちなみに、初期ステータスとスキルには個人差があり、中には全ステータスが1という人もいるし、スキル無しの人は沢山いる。
 ステータスオール1とか俺の15分の1しかねぇじゃん。むしろ身体能力が退化してんだろ。
 そう考えると、俺は凄く恵まれている方だろう。

「情報提供ありがとうございます」

 生徒会長は一つ年上なので、敬語を使ってお礼を言った。

「いえいえ、それでは話せる範囲で良いのでステータスとステータスをお教え頂けますか?」
「えぇ、構いませんよ」

 取り敢えず『狙撃』『冷静』『集中』『威圧』『家事』は伏せておくか。
 別に言ってもデメリットは特に無いが、メリットも全く無い。
 それに『武術』を持っていると言うだけで、それなりの扱いはされるだろ。
 『家事』の能力だけは絶対に言えない。
 .......頭の中に浮かんできた能力が本当なら、あまり他人に言いふらさない方が良いだろうな。
 有用すぎるから、こき使われるのが目に浮かぶ。
 この中には『家事』を持っている人が一人もいなかったのが幸いだ。

「ふふふ.......ジョブ無しで『武術』持ちとは優秀ですね」
「小さい頃から武術を教わっていた影響だと思います」
「なるほど.......確かに小さい頃から、やってきたことはステータスにスキルをとして表示されていましたね」

 このあとも、しばらく情報を共有したり、今後の対策を話し合った。
 世界がおかしくなって、たった2時間くらいしか経っていないのに、かなり情報が集まったので、有意義な時間を過ごせたと思う。
 しかし、職業についての情報は、もう少し集めたいので、しばらくは放置することになるだろう。
 そして話し合いが終わった後、俺は明日までに疲れを癒すため、制服を枕代わりにしながら眠りについた。




パーティメンバー

・佐藤 空

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